その日の夜。
相談室には、夕木と谷口の二人がいた。
夕木はおもむろに立つと、谷口の隣に丁寧に座った。
怪訝そうな顔の谷口に、夕木は笑顔で言い放った。
谷口は立ち上がると、夕木から後ずさった。
夕木は谷口に近づいていく。
憧れの人を見つけたような、キラキラした目で。
崇拝、という言葉に、谷口の目の色が変わった。
警戒していた谷口は、もうすっかり夕木の話に耳を傾けていた。
夕木は無邪気に笑ってみせた。
昼間の好青年は、最早見る影もない。
今までの悪事を誇らしげに語る谷口の顔は、いやらしい笑みで歪んでいた。
夕木はパチパチと谷口に拍手を送った。
そのとき。
ポポン、と静かな室内に電子音が響いた。
異質な音に、谷口は周囲をキョロキョロと見まわす。
夕木は胸ポケットからスマホを取り出し、谷口に見えるように掲げた。
その画面には、今までのやり取り――。
谷口が悪事を赤裸々に語る様子が、しっかりと録画されていた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!