柊side
頭がクラクラする。僕は、確か誰かに殴られて気絶させられたような…くっそ、僕がやられるなんて…
ん?誰か奥にいる
いや、姫じゃないし…
あぁ!思い出した…幼稚園のとき、僕は学年が一つ上の司達といつも一緒にいた。だって、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、その学年だったし、その時はまだ片目に慣れてなかったからだし…
その時、思いっきりビンタされた。爪で引っ掻かれたかも。
三条桜子がそう言うと、奥から刃物を持った男が出てきた。まじか…
ハハハ…慣れてるからね…昔はよくあったし、僕もしてたな〜(不良時代)
そう言うと三条桜子は何処かに行ってしまった。残されたのは、僕と刃物を持った男だけ。こいつ、前に三条桜子と一緒にいた男だ。
僕の顔を舐め回すように見ながら、そんなこと言ってきた。
そう言った瞬間男の表情が変わり、思いっきり殴られた。
それから何度も殴られる。くっそ、手が縛られてなければ、ボッコボコに言わせられるのに…とか考えていた時、突然目の前の男が消えた。
急にとてつもなく低い声が聞こえてきた。僕が顔を上げると、そこには相手を睨む類がいた。
そこへ息を切らせながら総二郎とあきらがやってきた。そして、二人とも僕を見て表情が変わった。
総二郎とあきらが男と話している間に類が手を縛っていたのを取ってくれた。
類は僕がある程度大丈夫な所を見ると、意識を男に戻した。
三人がここまで怒る所なんて初めて見た。僕がそんなこと考えていると男が床にうずくまっていた。
そして二人は出ていった。
そして、僕は男を殴り始める。不良を辞めてからは、滅多に殴らなくなったけど、ここで殺らないと僕のプライドが許さない。やっぱり、殺られたらやり返さないとね。
それから数分後、殴って満足した僕とそれを黙って見守っていた類は、外に出た。
その後、類に付き添われて僕は病院に行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!