あの後、椿野には
「 体調悪くなっちゃったから帰るね
食事はまた今度の機会にしよう 」
とだけ送ってスマホの電源を切った
そのまま家へと、
ひたすら早歩きで進み続ける
思考がぐるぐると掻き乱される
哉真斗くんは私の彼氏なのに
なんで、なんで……?
落ち着け、私
そう思って、一度、
深く深く、しっかりと呼吸をする
脳に酸素を回せるように
冷静になることができるように
ようやく、頭が冷静になった
けど、まだ体は緊張したまま
冷や汗は出るし
心臓はうるさいし体は震えるし……
哉真斗くんは賢い人だ
人の話も、聞いてる……はず
私は、ちゃんと「 別れない 」って言った
確かに最近は連絡しても
素っ気ない対応が多かったかもしれないけど
絶対に絶対に別れたことになんて……
また混乱状態になりかけた瞬間、
弟の声が急に後ろから聞こえて驚いた
「 お姉ちゃん 」として言える
言葉はそれくらいしかない
当たり前だ、血の繋がりはあっても
とてつもなく仲が良かったわけじゃない
お互いの存在を確かめるためだけの存在
自分の分身のような……
私にとって、遥は、
それだけの相手でしかなかったんだから














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。