出来るだけ何時も通りに 。
気取られぬように 。
細心の注意を払いながら
言葉を紡いでいく 。
やめて 、 そんな優しい顔で 、 声で私を
見ないで 、名前を呼ばないで 。
あなたの名前カタカナの心は悲痛な叫びを上げ続ける 。
だが一切表には出さず 、 にっこりと笑うのみ 。
エルヴィンは妙な胸のざわめきを覚えた 。
何時もならお喋りしていく筈のあなたの名前カタカナが一切目線
すら合わさずそそくさと立ち去ろうとするのだ 。
だがエルヴィンは其の胸のざわめきを
『 あなたの名前カタカナは忙しいのだろう 』と軽く考えた 。
後に後悔することになるとも知らず ───── 。
其れから 、 あなたの名前カタカナはぱったりと
執務室に来なくなってしまった 。
何時も明るい笑顔で溢れていた執務室は
妙に暗くどんよりとしている 。
任務の報告などで話すことはあるものの 、 必要最低限の
ことを話し終えればさっさと帰ってしまう 。
あんなによく笑っていたのに今では目線すら合わない 。
エルヴィンは流石に可怪しいと思い始めていた 。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!