side.松村北斗
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なんで……?
なんで貴方は謝るの…?
ねぇ、貴方は
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パッと、目が覚める。
あの人が誰なのか分からずに。
今日の目覚めも、いつも通り。
分からない。
あの人が誰なのか。
何が目的なのか。
でも、あの人が夢に出てきた日はいつも目覚めが嫌な感じがする。
誰かっていうのは知らされてないけど、俺と同じぐらいの年代だってことは分かる。
確か……5人?
こんなに沢山入ってくるなんて珍しいんだよね。
何かあったのかな?
コンコン
ガチャッ
俺が発する言葉を疑いもせず、馬鹿にするでもなく信じてくれる人。
それがこの清水佑也さん。
ここの施設の社長がこの人。
凄い優しい人だよ、佑也さんは。
人見知りの俺からしたら地獄みたいなもんなんだけどなぁ……
まぁいいか……
ガチャッ
新しく入ってくる5人……
玄関か?
そう思いながら玄関に向かう。
多分そうだろうと思った場所には一カ所に固まって話してる5人がいた。
さ、騒がしい5人だなぁ……
俺、上手くやってけんのかな…?
田中樹さん………?
な、なんか怖そう……
……全然優しかった……
こんな優しい人いるんだ……
っていうか樹って呼んじゃったし……
そう言って俺の頭を優しく撫でた後、まだ騒いでる4人の元へ向かう樹。
心底呆れたというように4人を見つめる樹。
なんか…悪い言い方するなら…
手玉に取ってる感じ?
この人テンション高すぎない……?
着いてけないし………
樹とは仲良くなれたけど……
他の人たちと仲良くなれるかな……?
なれるといいけど…
と、いうか…………
今まで思ってこなかったそういう想いが生まれてくる。
まずは樹だけじゃなくて他の4人とも話せるようにならないと!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。