早歩きで人混みの中を進む。
なるべく人目につかないように
油断しすぎだよ
ヒロくんが足を止める。
カランカラン
丁度誰も居なかったので、角の6人用の席に座る。
定員が奥に引っ込む。
ヒロくんが首を横に振りながら、カウンターの奥を見た
ガァンッ!
窓ガラスが割れる。
なにがこちらへ向かってきた
ヒロくんがとっさに椅子を蹴って、進路をずらす。
ヒロくんだけが一歩踏み出した
ここはショッピングモール。そのくらいわかっている。
だけど、なにか違う。
人が多いから?
いや、理由も根拠も、なにもない
ただただ、自分の勘だ。
そんな自分の勘にすぎないことを、心の中で思いながら、人混みの中を進んでいく。
何言ってんだろ俺
横を通り過ぎた男と目があった、気がした
「気のせいだろ」と自分に言い聞かせる
また横を通り過ぎた女子と目があった
振り返っても、もう人混みの中に紛れて分からない
偶然.....か?
ざわめき始めた心臓の音が、やけに大きく聴こえた













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!