この男、御影玲王は…
私の初恋の人、私の大好きな人、
そして、
私の婚約者である。
婚約者とは言えど、
実際の所はただの幼馴染。
でも、
老舗企業大手の望月文庫と最近、一気に力をつけた話題の御影コーポレーション。
活躍する業界は違えど、今昔を結びつけるこの2社でのこの婚約には十分意味がある。
だから、そう簡単にこの婚約は破棄されることはない。
そう思っていた自分が悔しくて仕方がない。
会社同士の経営方針が変化すれば、突然この婚約は破棄。
そして今では婚約者と言っていいのかと思うほどに私達の接点はない。
今さっきの会話なんて、何年振りとなるだろうか
私は彼に婚約者としてなど見られてはないだろう
彼の周りには大勢の人がいる。
容姿端麗、成績優秀、性格も満点、運動も満点
それはそれは、多くの人に好かれるだろう。
それはもちろん、異性にも。
自分の中に巻き上がったおこがましい感情を振り払って薄笑いの仮面をつける。
本当に、貴方の前では私は素直になれない。
毎日玲王君と話す周りの女の子達の様に、私も君に好きな事、好きなもの、好きな食べ物の話、色々話したいのに、
初恋の気恥ずかしさで
君に幻滅されないか心配で
どうしても愛想笑いになっちゃうの。
自分から、こう言う話題を選んだ。
そうして自分を彼から突き放さないと
この気持ちが収まりきれなくなる。
ねぇ、今私、
どんな顔してるんだろ、
車の窓に映る自分の顔が、怖くて見れない。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。