~照史’s side~
…俺のもんや
そう思いながら、何度も何度もその身体を抱いていた
そう嫉妬しとるんや、俺
あなたに連絡して、ファンだってことを知っとった崇裕にも
あなたが会えて嬉しそうにしとった坂本くんにも
俺のもんなんやから、そう言いたくて
でも口に出せない現状にも
すべてに苛立っとって
その細い体にすべてをぶちまけていた
身体を大きくしならせて、あなたは意識を手放した
…昨日徹夜やったって言っとたのになぁ
結局、抱きつぶしてしもうた
申し訳ないって思う気持ちはあるんやけど
まだモヤモヤした心は落ち着かへんで
とりあえずシャワーでも浴びようと部屋を出ようとした時
点いたままのパソコンのモニターが目に入った
もちろん放置したまんまやったから、セーブ画面なんやけど
ふと以前にあなたが言ってたことを思い出した
“パスワードは忘れないように私の大事なものの名前なの”
それが何かは教えてくれへんかったんやけど…
ちょっとふざけて“AKITO”って打ち込んでみると
パソコンは難なく解除された
普段データの保管用に使っとるはずのパソコンなんやけど
『A』ってフォルダがあってん
ホンマは勝手に見るなんてあかんことやけど
そのファイルがどうしても気になってん、開けてみると
…えっ、なんで?
そこには俺の知らない、俺の写真がいっぱい入っとった
いつ撮ったんやろうっていうような写真ばかり
俺の寝顔やったり、料理してるとこの後ろ姿やったり
もちろん見覚えのある写真もあって
2人で撮った写真もそこに入ってあった
スマホはもし落としたら怖いから…ってよく言っとったけど
ちゃんとこうやって保存しとるんや
…俺、ちゃんと愛されとるんやな
あなたは恥ずかしがり屋で、そういう気持ちはあんまり言ってくれんけど
ちゃんと俺のことを思っとるんが伝わってきて
さっきまでのモヤモヤは嘘みたいに晴れていった












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。