1時間後…私たち研修職員はメインルームに集合していた。といっても、私たちは特にすることもないので…休憩室にも行ってみたが、“教育用擬似コントロールルーム”の休憩室には暇つぶし道具はチェスが1セットしかなかったのだ。おまけに、誰かが持ち込んだもののようで名前が書いてあった。まったく。
とにかく、そう言うわけで私たちは45分ほど前から集まって雑談に花を咲かせていた。まあ、自己紹介をしてまわるにはちょうど良いタイミングだったし…1時間の休憩時間も悪くはなかったかもね。親交は深まったと言えるだろう。
そして、集合時刻のきっかり10秒前にネムネム先輩がメインルームに入ってきたんだ。
フォカッチャ…褐色肌にボサボサの長い黒髪をポニーテールにしてある、緑の目の男性だ。散歩をしに行くと言ってふらりと出て行ったきり姿を見ていない。
聞いたところ、彼は“外郭”から来たらしい。ロボトミー社が採用しているのは裏路地の人間だけではないようだ。どう言うことだろうか…外郭にまともな教育を受けられる奴がいるとは思えない。
同じく外郭出身のオレンジによると、外郭には“外郭の怪物”と闘うため力のある者が多いのだそうだ。なんでも“狩人”と言うフィクサーのような人物が怪物から集落を守っていたのだとか。
でも、だからなんだと言うのだろう?“R社”あたりならまだしも、エネルギー会社が外郭出身者を雇う理由でもあるのだろうか。まあ、会社勤めは初めてだから分からないけど…そういうものなのかもしれないね。
ネムネム先輩は苦々しげな顔で付け加えた。


ペパーミントは細い金髪の青年だ。ハキハキとした話し方が印象的で、グレーの瞳が美しい。“V社”の巣の出身で、L社に雇用されるまではフィクサーをしていたらしい。それも、“バトラー”。でも、バトラーフィクサーということは…何回か仕える人を変えたみたいだけど…一体何歳なんだろう?かなーり若く見えるけど…教えてはくれなかったね。
一度就職に失敗してからフィクサー免許を取ったらしいけど、今になって入社出来るなんて、と笑っていたのを覚えているよ。

さて、約30分後。
私たちがわちゃわちゃ話していると、キャンディが声を上げた。いつのまにかカプチーノ先輩が帰ってきていたようだ。どことなく疲れたような顔で両手に袋を抱えている。背中に緑色でツタや葉に覆われた、奇妙あクロスボウを背負い、服装も先程までの黒スーツではなく、金のラインが入ったものになっている。これが“諸事情”なのだろうか?
そう言って、カプチーノ先輩は持っていた袋を全部キャンディに手渡した。
キャンディの言う通り、手渡された“E.G.O装備”は白と黄色をベースにした…つまり、“ウサギロボ”と同じカラーリングのスーツのようだった。
そして、きっとこれがロボトミーの技術なのだろう、これをシャツの上に軽く羽織っただけであっという間に形状が変化し、胸や腰を守るように板のようなものが出現した。見れば、ズボンの色もいつのまにか白と黄色になっている。先輩たちは何か心配事があるみたいだったけど… 私、ちょっと楽しくなってきたよ。
それから、袋の中にはこれのほかに“ウサギロボ”に棒を横から突き刺したかのような見た目のハンマー?メイス?が入っている。これはなんだろうか?大きさの割に軽く、重心が安定しているね。握りやすくて手に馴染むような感覚がある。
▼“教育用擬似E.G.O”装着イメージ

そうブロッコリーが呟いた瞬間。
施設中に警報が響き渡った。緊張感と恐怖を煽るようなサイレンの音が。
[ファースト・トランペット発動。再生リアクターを起動します。]












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。