第15話

実践研修-抑圧作業、それから…
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2024/12/06 09:54 更新
1時間後…私たち研修職員はメインルームに集合していた。といっても、私たちは特にすることもないので…休憩室にも行ってみたが、“教育用擬似コントロールルーム”の休憩室には暇つぶし道具はチェスが1セットしかなかったのだ。おまけに、誰かが持ち込んだもののようで名前が書いてあった。まったく。

とにかく、そう言うわけで私たちは45分ほど前から集まって雑談に花を咲かせていた。まあ、自己紹介をしてまわるにはちょうど良いタイミングだったし…1時間の休憩時間も悪くはなかったかもね。親交は深まったと言えるだろう。

そして、集合時刻のきっかり10秒前にネムネム先輩がメインルームに入ってきたんだ。
眠い
集合時刻だ。全員いるか?
眠い
チッ…フォカッチャも遅刻か。どこをほっつき歩いてるんだ?
フォカッチャ…褐色肌にボサボサの長い黒髪をポニーテールにしてある、緑の目の男性だ。散歩をしに行くと言ってふらりと出て行ったきり姿を見ていない。

聞いたところ、彼は“外郭”から来たらしい。ロボトミー社が採用しているのは裏路地の人間だけではないようだ。どう言うことだろうか…外郭にまともな教育を受けられる奴がいるとは思えない。
同じく外郭出身のオレンジによると、外郭には“外郭の怪物”と闘うため力のある者が多いのだそうだ。なんでも“狩人”と言うフィクサーのような人物が怪物から集落を守っていたのだとか。

でも、だからなんだと言うのだろう?“R社”あたりならまだしも、エネルギー会社が外郭出身者を雇う理由でもあるのだろうか。まあ、会社勤めは初めてだから分からないけど…そういうものなのかもしれないね。
眠い
まあ良い…それと、連絡だが。カプチーノは諸事情により数十分遅れるとのことだ。まったく。
ネムネム先輩は苦々しげな顔で付け加えた。
眠い
いいか、お前たちはあんな風になるなよ。いかなる環境であろうと会社で働くからには規則と時間は厳守しろ。特に時間だ。遅刻するなぞ_
フォカッチャ
すまん、遅れた!!
眠い
…遅かったな、フォカッチャ。研修中だからと言って、だらしない態度でいると“懲戒処分”がくだるぞ…チッ…こんなのに構っている場合では無い。さっさと並べ。
フォカッチャ
はいよ〜。
眠い
では、研修を再開する。カプチーノがいないが、時間は無い…そうだな…おい、そこの二人。
キャンディ
わ…私、でしょうか…?
ペパーミント
はい、先輩!お呼びですか?
ペパーミントは細い金髪の青年だ。ハキハキとした話し方が印象的で、グレーの瞳が美しい。“V社”の巣の出身で、L社に雇用されるまではフィクサーをしていたらしい。それも、“バトラー”。でも、バトラーフィクサーということは…何回か仕える人を変えたみたいだけど…一体何歳なんだろう?かなーり若く見えるけど…教えてはくれなかったね。
一度就職に失敗してからフィクサー免許を取ったらしいけど、今になって入社出来るなんて、と笑っていたのを覚えているよ。
眠い
…そこ二人でジャンケンしろ。負けた方のグループにはお留守番をしてもらおう。
ペパーミント
かしこまりました、先輩!
では…いきますよ。それ、最初はグー、ジャンケンポン!
キャンディ
あっ…
ペパーミント
グーとパーですから、私の勝ちですね!
眠い
…よし。勝った方のグループは収容室へ移動しろ。今回は俺がサポートする。
抑圧作業は…難しいからな。
眠い
負けた方はここで待機。モニターに収容室のカメラ映像を映しておくからそれでも見ていろ。キャンディ、カプチーノが来たら無線で連絡しろ。
キャンディ
わ、わかりました…
さて、約30分後。
オレンジ
暇やねぇ…
ブロッコリー
そうね…
あなたの好きな食べ物/植物(カナ)
まったくが変わらないから面白くないや。
キャロット
すぴー…
オレンジ
ん?キャロットちゃーん?疲れたん?
キャロット
はっ…!やることがあまりにもなさすぎて、うっかり居眠りしてしまったわ!
オレンジ
マジで寝てたの?嘘ぉ…
ブロッコリー
…何か話してるみたいだけど。愛着と似てるのかしらね。
あなたの好きな食べ物/植物(カナ)
トラブルでもあったのかな?収容室にマイクがないのが残念だけど…なんとなくそんな感じがするね。
キャンディ
…あっ!カプチーノ先輩!
私たちがわちゃわちゃ話していると、キャンディが声を上げた。いつのまにかカプチーノ先輩が帰ってきていたようだ。どことなく疲れたような顔で両手に袋を抱えている。背中に緑色でツタや葉に覆われた、奇妙あクロスボウを背負い、服装も先程までの黒スーツではなく、金のラインが入ったものになっている。これが“諸事情”なのだろうか?
カプチーノ
ふぅ…悪いね、皆の衆。一人で引き揚げるのは大変で…遅くなってしまった。誰かネム君に連絡してくれるかい?
キャンディ
はい、私が…[えっと…ネムネム先輩、カプチーノ先輩が戻られました…!]
眠い
[OK。カプチーノ、遅すぎだ。時間を守れといつも言っている。]
カプチーノ
ふわふわピンク君、ちょっと無線を貸してくれ…[すまないね、ネム君。どうにか5個揃えたよ。テストはしていないが、多分問題ないだろう。まだ間に合うか?]
眠い
[急いでくれ。後2つだ…それに、“G.O可視化”の許可が出ていないから新人どもの体力がわかりづらい。万が一を考えて、早めに引き上げたいな。]
カプチーノ
ふむ…皆の衆、これを。これらはまとめて“E.G.O装備”という…諸君らの安全のため、そしてアブノーマリティらに対抗するために必要なものである。着替えるにはシャツの上から被るだけで良い。吾輩は少し忘れ物をしたんでな、すぐに帰ってくるが…
そう言って、カプチーノ先輩は持っていた袋を全部キャンディに手渡した。
カプチーノ
[わかった。こっちの新人に着せて対応しよう。“警棒”を取ってくるからもう少し時間を稼いでくれ…]
キャンディ
あ、これ…ヘアピンと似てるデザインですね…?
って、わあ…!
キャンディの言う通り、手渡された“E.G.O装備”は白と黄色をベースにした…つまり、“ウサギロボ”と同じカラーリングのスーツのようだった。

そして、きっとこれがロボトミーの技術なのだろう、これをシャツの上に軽く羽織っただけであっという間に形状が変化し、胸や腰を守るように板のようなものが出現した。見れば、ズボンの色もいつのまにか白と黄色になっている。先輩たちは何か心配事があるみたいだったけど… 私、ちょっと楽しくなってきたよ。
あなたの好きな食べ物/植物(カナ)
うわーお、これが翼の技術なんだね。
でも…これ、何?あちこち板がついてるけど…
オレンジ
何これー!このチェストプレート、どこから出てきた!?
キャロット
んん…サイズぴったり〜。
ブロッコリー
かっこいいじゃないの、これ。変身!ってやつ?
それから、袋の中にはこれのほかに“ウサギロボ”に棒を横から突き刺したかのような見た目のハンマー?メイス?が入っている。これはなんだろうか?大きさの割に軽く、重心が安定しているね。握りやすくて手に馴染むような感覚がある。
▼“教育用擬似E.G.O”装着イメージ
キャロット
これ…武器?物騒ね〜。
ブロッコリー
てか、結局アタシたち何するのかしら?
そうブロッコリーが呟いた瞬間。
施設中に警報が響き渡った。緊張感と恐怖を煽るようなサイレンの音が。

[ファースト・トランペット発動。再生リアクターを起動します。]
眠い
[シリアルナンバー0-00-00、“教育用 ウサギロボ”が脱走した。危険度はTETH、現在は“教育用擬似コントロール部門第2隔収容前”に留まっている。]
[また、対抗手段が無いためランク4職員眠い、及び5名の研修中職員が収容室内で待機している。“教育用擬似E.G.O”を装備している5名の研修中職員、及びランク4職員カプチーノは迅速な鎮圧を頼む。]
キャンディ
……え、えぇ!?
オレンジ
…何、脱走って!?
ブロッコリー
作業をしていた皆は無事なの…!?
キャロット
どういうこと…!?
カプチーノ
…ふぅ、ただいま。
あなたの好きな食べ物/植物(カナ)
…カプチーノ先輩!何があったんですか!?
カプチーノ
アブノーマリティが収容室から脱走したのだ。アブノーマリティというのはそもそもが我々に友好的でないものが殆どであるし、ずっと閉じ込められていたのでは不満も溜まるだろうから…こうやって、脱走するのだ。特に今回は作業内容が“ウサギロボ”の最も嫌うものであったが故に“クリフォトカウンター”が減少して…ああいや、難しい説明はよそう。とにかく、我々エージェントはソレが施設に更なる被害をもたらさないよう、すぐに鎮圧する必要がある。
…さあ、E.G.Oは装着したな?武器も持って。皆の衆、着いてきたまえ。

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