ふいっと司が後ろを向く。
司視点
〜司の部屋~
………これでやっと解放される。
もうオレは頑張ったんだ。
類には申し訳ないが
………あ、肝心なロープを忘れてしまった………。
オレは近くのホームセンターに行った。
そしてすぐ目当てのものを手にとる。
その時
と、背後から声をかけられた。
………最後なのに、なんで会っちゃったんだ。
よりによって、類に
もしッ………またバレたら
自殺を止められるッ………!
嫌だっ………もうオレをいい加減解放させてくれ
………痛いところをつつかれた。
オレは咄嗟に嘘を吐いた。
絶対にバレないように。
で、でも………何故類はこんな風に平然と話しかけて来たんだ。
オレは人の腕に切り傷を負わせたんだぞ………?
そんな奴は………最低だって思わないのか………?
それともッ……オレがやっていないとバレたか?
まぁ確かにあいつの演技な下手だったが………。
嗚呼、もうこれで類とは一生のお別れなんだな。
少し………悲しい気もするが………
いや、もう覚悟したんだ。
家には誰もいない。
咲希も両親も遠出しているのを把握してこの日にした。
オレは早足で部屋に向かった。
ぎゅ、ぎゅ、とロープを結んだ。
………やっとだ
やっと解放される。
みたいな、かっこいいセリフを言って
いざ、首を吊ろうとした瞬間______________
ガチャ、と扉が開いた音が玄関からした。
誰か帰ってきたのか、と思ったが
両親は主張、咲希は一歌達と旅行でしばらく家には帰ってこないはず
だったら………類?
オレの予想は的中。
なんで、独りになれたはずなのに。
類がオレの部屋に近づいてくる。
早くこのロープを隠さなければと思ったが強く結んでしまったせいでなかなか解けない。
ササッとロープを隠した瞬間、類がオレの部屋に顔を出した。
また、自殺を止められてしまった。
咄嗟に隠したからロープはオレの後ろにある。
後ろを見られたら終わりだッ……!
…見せたら類はどんな反応をするのだろう。
今すぐ自殺をやめろと言うのか
「僕も死ぬ」なんて言うのか。
オレは静かに消えたかったのに。
オレはすっ……とロープを類に見せた。
目をつぶって震えながら。
あーあ、もう終わりだ。
オレは一生逃げれないんだ。
あの地獄から。
そう思ってきたら………なんだか視界がぼやけてきた。
地獄から逃げれない、からといって涙が出てくるのはおかしい。………じゃぁなんで
類がぎゅっと優しく抱きしめてくれる。
本当に心地よくてたくさん涙が出てきてしまう。
そんな事ない、あるわけがない。
類はこんなオレでもしっかり向き合ってくれた。
オレが辛い目に合わないようにできる限りのことをしてくれた。
オレが体調を崩しても
オレが類に酷いことを言ってしまっても
類はオレを見捨てくれなかった。
だから、全部オレのせいなんだ。
類のことは信じないし
こんなにオレを支えてくれてるのに………きっと人間には裏があるって何故か心の中では思っちゃってて
類は何も言わずにオレの頭を撫でてくれた。
それがどうしようもなく嬉しくって。
前も………思ったが、類のためならやっぱり生きていたい。
どうしても辛い時だって何回もあるかもしれない。
………そういえばオレは自殺をする度に思う。
死にたい、逃げたい、解放されたい、と思うがそれと反対に
“スターになりたかった”、“類にもう会えない”、“寂しい”と思ってしまった。
人を信じられない、人に迷惑をかけてしまう、こんなオレでも………類は許してくれるのだろうか?
後日談
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。