家に帰る。
俺は急いで、あなたちゃんに電話した。
どうして、苗字が変わっているのか。
もしや…… もう結婚しちゃったの?
そのことが頭から離れなかった。
ピッ
涼介「もしもし……?」
あなた『はい。あなたですけど……』
涼介「あ、よかった。俺!涼介!!」
あなた『なんだ、涼ちゃんか……LINEでよかったのに』
涼介「ごめん。で、聞きたいことがあんだけど……」
あなた『それって、名字が変わっていたから?』
涼介「ま、まぁ……な」
あなた『そうだろうな。とわ思ったよ。明日空いてる?』
涼介「あぁ。空いてる気が……」
あなた『じゃあ、明日涼ちゃんの家に行くね。そのとき話す』
涼介「お、わかった」
あなた『引っ越しとかしてないよね』
涼介「してない。してない。待ってるよ」
あなた『うん』
あなたの声。
それは、幼かった時よりも、再会した時よりも地面を見て呟いているようだった。
次の日。
ピンポーン
あなたが家にやってきた。
涼介「上がって。上がって」
あなた「おじゃましまーす」
涼介「あ、今俺の両親。旅行中だから」
あなた「ふーん」
涼介「せっかくだし、俺の部屋来いよ」
あなた「うん」
あなたの元気も昔に比べて、ぜんぜんない。
病気でもかかってしまったのかと、心配してしまう。
涼介「で、なんだよ。その理由って」
あなた「ウチの両親。離婚したんだ」
涼介「はぁ??離婚??」
あなた「うん。信じられないと思うけど……私の両親離婚したの」
涼介「いつ?なんで??」
あなた「引っ越しして数カ月。原因は特にないの。単純に両親そろって、「こんな奴が相手なんてありえない」とか言いだしちゃって」
涼介「そっか……」
あなた「それでね。私はお母さんの方に引きとれたんだ。それから数年後お母さんが再婚。お母さんよりちょっと若めの人なんだけど……」
涼介「そうだったんだ……。聞かない方が良かったな」
あなた「気にしないで。そうだ!涼ちゃん。久々に会ったんだし。小学校行かない?」
涼介「お、おう!!」
あなたの苗字が変わっていた理由は、結婚していたとかそいうわけではなかった。
俺にとっての少しの安心。
――初恋の人がまさかの結婚していました。
的な状況だったら、俺はどれだけ頭を抱え込んでいたのだろうか。
この瞬間。オレはふと思った。
――結婚していなくて安心した。
この想いってつまりは……まだ俺はあなたのことが好きだったのか。
10年以上も前に諦めた恋。
これを再スタート出来るようになったからなのだろうか。
離れてしまって、あなたへの想い、たち切ったはずだったのに。
再会してしまうと、溜めていた想いがドンと溢れ出して来たのかもしなかった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!