晃太side
神前晃太。
それは、俺…僕の、昔の名前だ。
昔の僕は、地味で、存在感のない人間だった。
ドンッ。
自分の席に座って静かに読書をしていると、近くにいたクラスメイトが僕の机に手を置き、「いたの気づかなかった」と言われるのが日常だった。
しかし、橋本さんは、一人だけ違った。
それは、席替えをして、橋本さんと隣の席になった時。
ガタンッ。
僕が指定された席に着くと、橋本さんが隣にやって来た。
僕が俯いていると、橋本さんが話しかけてきた。
橋本さんは、僕の目をしっかり見詰めてそう言った後、優しく微笑んだ。
その時の笑顔に、僕は心を動かされてしまった。
そしてある時、僕がいつも通り本を読んでいると、橋本さんに話しかけられた。
話し出すと、橋本さんは、凄く真剣な眼差しで話を聞いてくれた。
「あれ、それならやっぱり似てるのか?」と首を傾げる橋本さん。
…僕は、彼女の言葉に胸を打たれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今の俺は、「神前晃太」じゃない。「洲藤晃太」。
いつまでも勇気を出せず、告白することが出来なかった少年ではなく、目の前の相手に、しっかりと自分の気持ちを伝えられる自分だ。
だから、俺が…僕が、あの小説の、音羽みたいに、変わることが出来たんだ、そう貴方に伝えるよ。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。