第17話

神前くん
25
2020/03/12 11:09 更新
晃太side
神前晃太。
それは、俺…僕の、昔の名前だ。
昔の僕は、地味で、存在感のない人間だった。
洲藤くん
洲藤くん
…(読書しよ…)
ドンッ。
クラスメイト
ん?あれ、ごめん!いたの気づかなくて!
洲藤くん
洲藤くん
…いえ、大丈夫です…
自分の席に座って静かに読書をしていると、近くにいたクラスメイトが僕の机に手を置き、「いたの気づかなかった」と言われるのが日常だった。
しかし、橋本さんは、一人だけ違った。
それは、席替えをして、橋本さんと隣の席になった時。
洲藤くん
洲藤くん
…(席替えなんてしてもどうせ話せる人いないから、意味ないんだけどな…)
ガタンッ。
僕が指定された席に着くと、橋本さんが隣にやって来た。
苺
苺
えっと、神前くん、だよね?
僕が俯いていると、橋本さんが話しかけてきた。
洲藤くん
洲藤くん
え?あ、はい
苺
苺
クラスメイトなんだし、お互いタメ口でいこーよ(笑)
よろしくね!
橋本さんは、僕の目をしっかり見詰めてそう言った後、優しく微笑んだ。
その時の笑顔に、僕は心を動かされてしまった。



そしてある時、僕がいつも通り本を読んでいると、橋本さんに話しかけられた。
苺
苺
いつも何の本読んでるの?
洲藤くん
洲藤くん
あ、橋本さん
えっと、「邪魔者は私だった」という本なんだけど…何の取り柄もない主人公が、ある一人の人の言葉で、変わろうと努力する話なんだ
主人公が何だか僕に似てるような気がして、読んでみたら、とても考えさせられる本で…
話し出すと、橋本さんは、凄く真剣な眼差しで話を聞いてくれた。
苺
苺
…凄く、興味深い本だね
今度貸してくれない?
洲藤くん
洲藤くん
え、もちろん!
興味を持ってくれて嬉しいよ
苺
苺
あと、神前くんは、自分がその本の主人公に似てるって言ってたけどさ、そんなことないと思うよ
洲藤くん
洲藤くん
…え?
苺
苺
何の取り柄もないって言ってたけど、こんなに自分の好きなものについて、熱心に伝えられるって、すごいことだと思う
それに、その本の主人公だって、このままじゃ駄目だ、って変わろうと努力するんだから、すごいと思うし
「あれ、それならやっぱり似てるのか?」と首を傾げる橋本さん。
…僕は、彼女の言葉に胸を打たれた。





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洲藤くん
洲藤くん
…そして、俺は橋本さんを好きになったんだ
苺
苺
こーちゃん…
今の俺は、「神前晃太」じゃない。「洲藤晃太」。
いつまでも勇気を出せず、告白することが出来なかった少年ではなく、目の前の相手に、しっかりと自分の気持ちを伝えられる自分だ。
だから、俺が…僕が、あの小説の、音羽(おとは)みたいに、変わることが出来たんだ、そう貴方に伝えるよ。

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