りうらside
最近、体調を崩すことが増えた。
例えば、この前みたいに急に頭が痛くなったり、急に吐いちゃったり。
それでメンバーに心配されていたので(特にないくんが)1人で病院に行くことにした。
ないくんが「一緒に行こうか?」といってくれたけど、遠慮しておいた。
だって…もしものことがあったら、それはないくんにもみんなにも知られたくないから。
まぁそれはないだろうけど。
昔から健康体だったし
病院で名前が呼ばれ、お医者さんに最近の体調のことについて話すと、検査をすることになった。
ドラマとかでよく見る水色のやつを着て、詳しい検査をするらしい。
違和感を覚えなかったというと嘘になるけど、まさか自分が病気なわけないと思っていたから、込み上げる不安を無視した。
色々な検査をして、やっと解放された。
検査の結果が知らされるのは一週間後らしい。
そこでまた、嫌な予感がした。
一週間後に知らされるとか、なんか怖い。
メンバーに今日病院行くとはいってないから、一週間後までは教えないことにした。
……なんとなく、そうした方がいいって思ったから。
一週間後
またメンバーに内緒で病院に来た。
少しの不安を抱え、先生に結果を聞く。
先生は少し曇った顔をしていた。
…え?
もしかして、よくない結果だった?
アニメで聞くような台詞を言われて戸惑いつつも頷く。
病気…?
本当によくない結果だったんだ……。
いや、でも、すぐに治る病気かもしれないし…。
それって僕は………………。
今日は7月15日だから…僕は、12月15日に死ぬ…?
---そこから先のことは覚えていない。
気づいたら家にいて、まだ自分が死ぬということが理解できなかった。
メンバーに言おうか……?
……いや、それはできない。
僕の両親は数年前に亡くなっていて、あの時の悲しみは計り知れない。
あの悲しみと絶望をメンバーに味わわせるのは嫌で、メンバーには言わないことにした。
でも……、僕が死んだら悲しむんだから、いつかはバレるし、悲しまれる。
なら、どうすれば---
----その時、最低な考えが頭をよぎった。
できるわけない。
やりたくない。
でも……そうすれば、僕が死んだ時、メンバーは悲しまないのだ。
やってみてもいいかもしれない。
---メンバーが僕が死んだことを喜ぶくらいに、彼らに嫌われる、なんてこと。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!