最初から分かっていた
エドさんは、誰か一人のものになる人じゃない
穏やかで、理性的で、揺れない
誰に対しても同じ距離で、
同じ温度で、
同じ優しさを向ける人
そう言って笑った横顔を、良く覚えている
そのとき私は、なぜか安心した
公平であることは、残酷だけど美しい
選ばれない代わりに、拒まれもしない
それなら隣に立っていられると思った
肩が触れない距離
近くも、遠くもない位置
特別じゃなくてもいい
ただ、ここにいられるなら
そのはずだった
いつからだろう
“平等”の中にいることが、
少しだけ淋しくなったのは
同じ言葉を向けられるたび、
少しだけ息が苦しくなったのは
でもまだ、このときの私は知らない
全部あげるつもりで差し出した手が、
やがて空っぽになることも
強いと言われ続けた心が、
音もなくひび割れていくことも
そしていつか、
「いっか、忘れておくれ」と
静かに笑う日が来ることも
エドさんは、今日も揺れない
私は、まだ笑えている
物語は、ここから始まる
終わりに向かって












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。