⚠学生ぱろ、Notアイドル⚠
⚠モブ⇄💙表現あり⚠
ずっとずっと好きだった。
彼のことが。誰よりも好きだった。
幼馴染で、昔から一緒で、当たり前のように隣にいた彼が大好きで。
友達だけじゃ、幼馴染だけじゃ嫌だった。
でももう好きだなんて言えないくらい、長い時が経ってしまった。
もう言うタイミングなんて少しもない。
それでも俺はこの思いを切り離すことなんてできなかった。
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一緒に帰っていたある日のこと。
隣に並ぶ翔太はぼそりと俺に告げた。
急にそんなこと言われたから、少しびっくりしてしまった。
そりゃモテるだろう。
これだけかっこいい顔してるし、なんだかんだ優しいし、翔太の良さは誰よりも俺がわかっていると自負している。
といつもどおり俺は翔太に伝えた。
ちゃんといつもどおりの顔でいられているか心配だが、でもこういうのも長い間一緒だったし、慣れた気がしなくもない。
翔太とはその後も何気ない世間話を続けた。
そういえばそろそろ夏祭りの時期だっけ。
いつも俺が誘ってるのに翔太から誘ってくれるなんて。
嬉しいなと思いつつ、すぐに
と答えた。
それが俺らの関係を崩すきっかけになることが起こるとは知らず、俺はのんきに喜んでいた。
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夏祭りの日。
待ち合わせ場所で待っていると、翔太が俺の名前を呼びながら駆け寄ってくるのが見えた。
眩しくて、綺麗で、自然と表情が緩む。
なんか言葉さえも緩くなっている気がするが、そんなの気にせず、翔太の隣を歩く。
あと二時間くらいで花火が上がるらしい。
それまでは焼きそばとかチョコバナナとか、そんなのを食べて過ごした。
何を話したかはあまりにいつも通りすぎて覚えていない。
周りを歩いているカップルを見て俺らもカップルみたいだなって言われたときはすごくドキドキしたけど。
そんなうちに気付けば花火大会の時間になっていた。
俺の手を引いて前を走っていく翔太はどこか昔のようで、でもたしかに成長していて。かっこよくて。
今から見る花火よりも綺麗なんじゃないかってまだ花火を見てすらいないのに、思ってしまった。
翔太が案内してくれた場所は本当に人が誰もいなくて、でも少し開けていて空がよく見えた。
あと数分で花火が始まる。
そんなとき、翔太は俺を見つめて問いかけた。
唐突だった。あまりに急すぎて、俺は何も答えられなくなってしまった。何か答えなきゃ。何か言わなきゃと思ってとりあえず聞き返すことにした。
そう問いかけると翔太はえっ…と戸惑うような表情を一瞬見せてから
と言った。
好きな子はお前だなんて言えるわけない。言えたらもうとっくに言ってるだろう。言いたくても、言える言葉じゃないんだ。
すぐ隣に。
そういった直後、花火が始まった。
俺の目は目の前で輝くものに夢中になり、隣で瞳から流れている輝きに気づくことなんてできなかった。
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あれから俺らは少し距離が遠くなった。
一緒に帰っていたはずなのに、用があるからとかでいつも一緒に帰れなくなった。教室で過ごすときも、俺じゃない誰かと一緒にいるようになった。
このときの俺は、なんでこんなことになっているかすらわからなかった。ずっと、翔太に何をしてしまったかなと考えることしかできなかった。
ある時噂で聞いた。この前翔太が告白されていた子と付き合ったらしいと。
だから避けられていたのだろうか。でも男同士だし、気にすることないはずなのに。俺の気持ちがバレていたのだろうか。
情けないな。結局伝えられなくて、フラレて、避けられて。まだなにも伝えられてなかったのに。
でもいい。この恋は叶わないって知ってたから。わかってたから。だから翔太が幸せになってくれるならそれでいいと思った。
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ある日の放課後、忘れ物をして教室に戻ると、一人で窓の外を見つめる翔太がいた。俺には気づいていない。
声をかけるか迷っていると、翔太は鼻をすすり、目を擦っていた。泣いてる?そう思ったときに何かあったのかと心配になり、手を伸ばす。でも。俺にはもうそんな権利もない。そんなこと翔太が許してくれない。
俺は翔太に手を伸ばすこともできず、教室に入れずに教室の外から泣いている翔太を見ることしかできなかった。
彼女にフラレたのだろうか。彼女が他に好きな人でもいたのだろうか。俺だったら絶対にそんなことしないのに。愛すのに。なんて馬鹿なことを思ってしまう。
翔太の涙はまだ止まることはなく、むしろたくさん流れてきていた。
そんな昔から好きだったんだ。じゃあなぜ付き合わなかったのだろう。というか、俺が気づいてあげられてればよかったのか。そもそも二人にとって俺が邪魔だったんじゃないか。早く離れておけばよかったのかとしれないな。
信じられなかった。ずっと欲しかった言葉が急に発されたから。
何度想像したことだろう。もし翔太と付き合えて、愛してくれたら、なんて。一緒にいてくれたら。笑いあえたら。どんなに幸せだろうと考えていた。
ずっと欲しかった「愛してる」は、一番いらないタイミングで受け取ることになってしまった。
じゃあさっきのも俺の話?俺が好きなやつがいるって言ったから、翔太は離れたのかよ。他のやつと付き合ったのかよ。
それより…昔から好きだったんだ。俺のこと、愛してくれてたんだ。気付なかった。翔太のことなのに。
もう遅いよ。もう…全部遅いんだ。もう手遅れなんだよ。ポロポロと流れ落ちる涙を抑えようとしながら、俺はその場に崩れ落ち、泣き続けた。
しばらくしていると、翔太の彼女がこちらへ来ていることに気づいた。俺は邪魔だし、早くどかなきゃと急いでその場を去った。後ろからは翔太の優しい声が聞こえる。俺は一人、声を殺して泣きながら家路についた。
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それからのこと。翔太はそのまま彼女と結婚したらしい。高校卒業以降、というか、あの夏祭り以降は俺らは関わらなくなった。まるで見知らぬ間柄のように。
でも時々目が合うことがあった。そのたびに苦しくなって、胸がしめつけられたのを今でも覚えている。
せめて結婚式くらい呼んでくれたってよかったのに。それすらも呼ばれず、俺は一人、翔太との思い出に心を痛める。忘れることなんてできないほど長くいた俺らはもう他人。
ねぇ、翔太、愛してたよ。幸せになってね。
俺のこと愛してくれてありがとう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!