⬇️前回の続きです!
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映像が終わって
4人が立ち上がる。
「1人ずつ話そっか」
仁人が言う。
それに応えるように
太智がマイクを強く握りしめて
1歩前に出る。
(深く息を吸って、少し間を置く)
「……ちょっと、ちゃんと話しますね。」
会場が静まり返る。
「10周年って聞くと、なんかキラキラしてるじゃないですか。でも正直、ここまで本当にいろんなことがありました。」
少し笑うけれど、目はまっすぐ。
「メンバーが抜けたり、思うように前に進めなかったり。正直、ぐちゃぐちゃだったんです。」
その言葉に、隣のメンバーが小さく頷く。
「そのとてっ思っちゃって。
……“俺たち、何のためにM!LKやってるんだろう”って。」
会場が息を呑む。
「でもね、今だから言えるんですけど、弱ってたの、俺だけだったんですよ。」
少し照れたように笑う。
「みんなは、『5人で頑張ろう』『絶対いける』って、本気で言ってて、俺は内心、そんな簡単じゃないだろって思ってたのに。」
客席から小さな笑いと涙。
「でも、その姿を見てたら思ったんです。
あ、この5人なら、壁が来ても何とかなるかもしれないって。」
声が少し震える。
「だから俺、決めました。この5人と人生を歩みたいって。ずっと一緒にいたいって。」
隣のメンバーを順番に見ていく。
「舜太も含めて、俺にとってはずっと5人なんです。」
その一言で、空気が変わる。
「舜太がいなくなってから、正直、何回も止まりそうになりました。
守るって思ってたのに、守れなかったんじゃないかって、ずっと引っかかって」
一度言葉が止まる。
「でもさ、あいつ、絶対言うんですよ。“何止まってんの?”って。」
会場から涙混じりの笑い。
「だから俺たちは続けました。怖かったけど、続けた。」
そして、客席を見つめる。
「みんなはよく、“僕らがいるから頑張れる”って言ってくれるよね。でもさ、違うんです。」
首を振る。
「俺は、みんながいるから頑張れるんです。」
まっすぐな声。
「ライブで泣いてくれたり、笑ってくれたり、名前呼んでくれたり。
その一つ一つが、“やっててよかった”って思わせてくれる。」
少し照れながら笑う。
「だからこれからもさ……おんぶにだっこ? だっこにおんぶ? どっちだっけ。」
メンバーが小さくツッコミを入れて、少し場が和む。
「まあ、とにかく。支え合いながら、一緒に歩いてほしいです。」
最後に、強い目で言う。
「俺たちはまだまだ途中だし、
ここからも壁は出てくると思う。でも、このメンバーと、みるきーずがいれば、何とかなると思っています。」
少しだけ上を見て。
「舜太、10周年だよ。
ちゃんと見守っててよー!!
ずっと一緒だからね」
そして深く一礼する。
会場が少し温かくなる。
太智がステージを見渡すと、
泣いてる勇斗と目を潤ませた柔太朗、
そして、いつも通りの仁人がいた。
太智が「みんなどうした!」
と聞くと、勇斗が
「いつもふざけてばっかの太智が真面目なこと言うと
泣けてきちゃうんだよな…笑」
と答える。
みんなが相槌をうっている時、
「俺、早めに喋っとくね」
勇斗がマイクを握りしめて口を開く。
「まずは、10周年。ここまで来れたのは、本当にみるきーずのおかげです。ありがとう。」
一度うなずいてから続けます。
「俺、あんまりこういう話しないんだけど……今日はちゃんと話そうかなと思って。」
会場が静かになる。
「俺、芸能界に入って10年以上経つんですけど。正直に言うと……9割、苦しいです。」
ざわめきが広がる。
「バラエティでふざけたり、ライブで笑ったりしてるけど、うまくいかないことも多いし、自分に自信がなくなる日もあるし、“これでいいのかな”って思うこともたくさんある。」
少しだけ笑う。
「でもね、残りの1割があるんですよ。」
客席を見渡す。
「特典会でみんなと話してる時とか、今日みたいにライブで笑ってくれてる瞬間とか、メンバーとくだらない話してる時間とか。
その1割があるから、俺はここにいられる。」
声が少し震える。
「……舜太も、その1割のど真ん中にいたんだよね。」
会場の空気が変わる。
「舜太って、ほんとにすごいんですよ。場を明るくする力があって、気づいたら笑わせてくれてて。あいつがいるだけで空気が柔らかくなる。」
少し上を見上げる。
「正直、今でも“あ、舜太に話そう”って思う瞬間、めちゃくちゃある。今日もね、本当はいっぱい言いたいことあったんですけど、叶わなかったですね。」
小さく笑う。
「まだ慣れないんだよな。」
そして客席へ。
「みるきーずと俺らの関係って、不思議だよね。
ファンとアイドルっていうより、なんか親戚みたいじゃない?」
客席から笑いと涙。
「近すぎる時もあるし、言葉が雑な時もあるかもしれないけど、それくらい素でいられる場所なんです。」
少し真剣な顔になる。
「舜太がいなくなった時、正直どうしたらいいか分からなかった。
でも、みんながいたから、メンバーがいたから、立っていられた。」
メンバーの方を見る。
「この5人が出会えたのって、奇跡だと思うんですよ。地球にこんなに人がいるのに、こんな関係になるなんてさ。」
胸に手を当てる。
「血が繋がってるわけじゃないけど、家族みたいで。切っても切れない縁で。」
そして少し強い声で。
「舜太も含めて、俺にとってはずっと5人です。」
涙をこらえながら続けます。
「俺はこれからも、M!LKの歴史を背負っていきたい。
8人でドームっていう夢も、言い続ける。」
笑いながら言う。
「しつこいって言われても言うからね。」
そして最後に。
「今のこの5人が大好きです。
舜太も含めて、大好きです。」
深呼吸をしてから言う。
「みるきーず、俺をここにいさせてくれてありがとう。
アイドルでいさせてくれてありがとう。」
少し前を向く。
「これからも突っ走るので、着いてきてください。」
そして空を見上げて、小さく。
「舜太、見てるだろ。ちゃんと休んで、ステージに戻ってこいよ!みんな待ってるから。」
話してるうちにぐちゃぐちゃになった顔。
でも、それ以上に泣いているのは
柔太朗だった。
「柔太朗!?」
メンバーが驚くと、柔太朗は
「2人ともすごい良いこと言うんだもん」
と言いながら涙を拭い、
強く、マイクを握り締める。
柔太朗はマイクを持ったまま、少し下を向いて笑った。
「……なんか、今日、すごいね。」
会場を見渡す。
ペンライトが揺れている。
「10周年って聞くとさ、めちゃくちゃキラキラしてる感じするじゃん。でも俺ら、そんな綺麗な10年じゃなかったと思うんです。」
少し笑いが起きる。
「それぞれいろいろあって、落ち込んでる時とか、“あ、これやばいな”って時とか。辞めたいとかじゃなくて、単純にしんどい時が。」
メンバーの顔を見る。
「勇ちゃんがきつそうな時、仁ちゃんがさりげなく横にいたり。逆もあったし。意外とね、俺と舜太、気づいてたんです。“あ、今支えなきゃだな”って。」
少し目を細める。
「舜太、そういうの敏感だったから。」
空気が静かになる。
「俺さ、最近ずっと思ってることがあって。……いや、最近じゃないか。ずっとか。」
一度息を吸う。
「自分、ほんとに何もできないなって。」
客席がざわつく。
「中学生の頃は、なんでもできると思ってた。歌もダンスも、なんとなくうまくいくと思ってた。でも現実は全然で。マラソンも遅いしさ。」
小さく笑いが起きる。
「なんかね、“俺って何担当なんだろ”って考えたこともあって」
少し真面目な顔になる。
「でもね、グループっていいよね。」
ゆっくり、噛みしめるように言う。
「俺ができなくても、誰かができる。
俺が落ちてても、誰かが引っ張ってくれる。」
そして。
「だから5人でひとつなんだよ。」
“5人”という言葉に、少しだけ声が揺れる。
「……5人で。」
視線が遠くを見る。
「舜太がさ、“俺ら最強っしょ”ってよく言ってたんです。」
少し笑う。
「全然最強じゃねえよって思ってたけど。」
会場から涙混じりの笑い。
「でも、あいつがいるとさ、本当に最強な気がして」
喉が詰まる。
「一番長く一緒にいたから、
楽屋での距離感も、ステージでの立ち位置も、当たり前すぎて。」
目が赤くなる。
「今でもさ、ふとした瞬間に“柔太朗ー”って聞こえる気がするんです。」
言葉が止まる。
「俺さ、あいつに何してあげられたのかなって、かんがえちゃって」
涙がこぼれる。
「でも今日ここに立ってて思った。
あいつ、絶対これ見て笑ってるって。」
鼻で笑うように。
「“泣きすぎだろ”って。」
会場から優しい笑いとすすり泣き。
「だから俺、ちゃんと笑うよ。」
涙を拭きながら笑う。
「俺、チームが大好きなんだよ。
このメンバーが大好きで。
みるきーずが大好きで。」
客席をまっすぐ見る。
「1人の拡散でも、1人のコメントでも、それに何回も救われてきて、
“今日もやってみるか”って思えたんです。」
声が柔らかくなる。
「ほんとに、支えられてやってこれた10年です。」
そして少し強く。
「10年経ったけど、終わりじゃないし
俺らにやることは変わらないし」
メンバーの肩に軽く触れる。
「もっとでかくなりたい。
もっといろんな景色見たい。」
一度空を見上げて。
「舜太も含めて、5人で。」
最後に、優しく。
「みんなで幸せになろう。」
深く頭を下げる。
「じゃあ、最後俺行こうかな」
仁人が深く息を吸う。
「……もう、ないよ。言うこと。」
客席から少し笑いが起きる。
「みんながいっぱい話してくれたし、もういいかなって思ってる。
この現状で、俺は結構満足してる。」
一度、メンバーを見る。
「たぶん、大丈夫だよ。俺ら。」
静かな声だった。
「みんながさ、それぞれちゃんと感謝を伝えてくれたから。
……みるきーずには、まだ足りないかもしれないけど。それはごめん。」
少し間が空く。
「太智の話聞いててさ、思い出したんだよね。いろいろ。」
遠くを見るような目になる。
「勇斗に前言われたことがあって。
“仁人ってずっと一定のペースで生きてるよね”って。」
小さく笑う。
「テンションの波がないって。
でも最近気づいた。俺、全然フラットじゃなかった。」
会場が静まる。
「家で“ああ…”ってなること、いっぱいあった。
悔しいことも、腹立つことも、絶対許さないって思うことも。」
少しだけ声が低くなる。
「でも、見せなかった。」
マイクを持つ手に少し力が入る。
「リーダーだったし。
俺が崩れたら、たぶん崩れる気がしたから。」
静かな空気。
「“この5人なら行けるよ”って、ずっと言ってたけど、
あれ、今思うと虚勢だった時もあったと思う。」
メンバーが少し俯く。
「でもさ。」
仁人はゆっくり笑う。
「今日、ここに5人で立ってる感覚がまだあるんだよね。」
天井を少し見上げる。
「舜太、たぶんどっかで見てるし。」
少しだけ声が柔らかくなる。
「アイツ、俺によく甘えてきたじゃん。
どうでもいい話とか、急にしてきたり。」
会場から小さな笑い。
「俺、結構適当に返してたけど。」
少しだけ目が潤む。
「……ちゃんと聞いてたよ。」
短く言う。
「舜太ってさ、すげー無邪気だけど、
人の変化に一番気づくやつだった。」
ゆっくり息を吐く。
「だから多分、俺がしんどい時も気づいてたと思う。」
少し間。
「でも、あいつは言わなかった。
俺が言うまで待ってたんだと思う。」
静かな声で続ける。
「そういうところ、ほんとずるいよな。」
少し笑うが、涙が滲む。
「いなくなってから気づくこと、めちゃくちゃ多い。」
客席からすすり泣きが聞こえる。
「でもさ、俺ら止まれないんだよね。」
声が少し強くなる。
「ERAもワインディングロードも、
最初は自分たちに言い聞かせる曲だったけど、
今は誰かに届ける曲になった気がする。」
客席を見る。
「それって、続けてきたからだと思う。」
ゆっくり言う。
「途中でやめてたら、誰の記憶にも残らなかった。」
少し笑う。
「もったいないじゃん。」
そして真っ直ぐ前を向く。
「だから俺らは続ける。」
はっきりした声。
「舜太がいたM!LKを、ちゃんと未来に持っていく。」
少しだけ照れたように笑う。
「勇斗も言ってたけど、行こう。ドーム。」
客席から拍手。
「しんどいよ。絶対しんどい。
これからもたぶんしんどい。」
でも、と続ける。
「みんなで乗り越えよう。」
客席に向かって。
「みるきーずも、しんどい時あるでしょ。
俺らもある。」
静かに言う。
「弱さ見せられるの、みるきーずだけだから。」
少し柔らかく笑う。
「俺らがしんどそうな時は、声出して支えて。
みんながしんどそうな時は、俺らが支える。」
そして最後に。
「これからも走り続けるから、ついてきて欲しいです。
今日は本当にありがとうございました。そして、これからも末永く、よろしくお願いします。」
深く頭を下げた。
会場が拍手と涙に包まれる。
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そして、
歌。
声が震える。
音程が崩れる。
特に柔太朗は、
泣き崩れ、
声が出なくなる。
でも、
歌うのをやめなかった。
それが、
答えだった。
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最後。
4人はステージの中央に
向かって話す。
「正直、すごく悔しい」
「何やかんや、末っ子が一番
考えてるとこあったんじゃないかな」
勇斗が言う。
それに応えるように
太智が
「舜太はね、ほんとに
M!LKに強い想いとか覚悟があっただろうし」
「できないを言わずにできるまでやるタイプだから
すごく俺らも頑張らなきゃって思えて」
「尊敬できる末っ子でしたよ」
「まあね、太智とか勇斗が言うように
舜太ってほんとにすごいんですよ」
「何に対しても全力だったから
きっとみんなも応援したくなったんじゃないかな」
「でも、もっと一緒にいたかったし
上目指したかったな」
仁人が悔しそうに話す。
「みんなも知ってる通り、
柔太朗と舜太って同期なんです」
「だから勿論俺ら3人もだけど
一番想いが強いのって
柔太朗だと思うんだよね」
それに頷きながら
柔太朗が深呼吸して、
口を開く。
「俺の中では、舜太ってずっと横に
いるのが当たり前になってて」
「なんかもう、同期の枠を超えてるくらい
長い時間一緒にいてくれたから
ほんとに居なくなった今、すごく怖くて」
声が震えて
目が潤む。
「...置いてかないで欲しかった」
「寂しいに決まってんだろ」
柔太朗の心にあった想いが
涙となって溢れ出る。
勇斗が柔太朗を支えながら
「ほんとに舜太ってM!LKにとって
大きかったんです」
「だけど、舜太は全力でやらないのは
絶対嫌がるから」
「何が正解かも分かんないけど」
「舜太が守りたかったものは守るし」
「これからは舜太が誇れるM!LKでいたい」
4人がステージの中央に集まって
上を見上げながら肩を組む。
柔太朗の横には1人分の空間があった。
「舜太、ほんとうにありがとう」
「ちゃんと見てろよ」
「お前の居場所守るから」
「ずっと一緒だからね」
「...”大好きだよ”」
そして
最後に。
「今日は本当にありがとうございました!」
「これからも、M!LKと一緒に横を
歩いてくれると嬉しいです」
「みるきーず、ありがとう!!」
深いお辞儀をして、
ステージは幕を閉じた。
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公演が終わり、
アリーナの裏では、
4人も、
スタッフも、
泣いていた。
後日、
公式から
メンバーの言葉で
舜太のことが伝えられた。
行けなかったみるきーずにも、
手紙とビデオは
YouTubeで公開された。
今も。
舜太は、
M!LKの横で
笑っている。
ステージの上で。
これからも、
ずっと。
―――完
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本当にここまで読んでくださり、
ありがとうございました!
初めてすぎて何をどうしたらいいか
分からない部分もあったんですが
なんとか本編完結を出来ました🌟✨
今日の投稿すごく遅くなってしまいごめんなさい。
これからはスピンオフという形で続編を出していくので
楽しんでいただけると嬉しいです🍀︎✨
これからもよろしくお願いします🤝💓












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!