どうやら私は眠っていたよう、
外を見てみるともう夕日が沈みかけていた。
あぁそうだ
私は朝から猫の執事、ムーに振り回せれて
クタクタになり、寝てしまっていたのだ。
目の前の私の担当執事 ベリアン は、
お昼からずっと部屋に閉じこもっている私を心配でもして様子を見に来てくれたのだろう。
どこか具合が悪いのか、と思っているような目でベリアンは私を見つめてくる。
迷惑…かけちゃったな、
ベリアンはそう言い
いつものように、ふわっと温かみのある笑みを見せてくれた。
私はベリアンの紅茶が好きだ。
この世界に来る前はそこまで紅茶は好きではなかったのだけれど、ベリアンがあまりにも美味しい紅茶を入れてくれるので好きになってしまった…
でも、残念ながらベリアンが入れてくれた紅茶以外は
どうやら私の舌には合わないらしい。
困った舌だ………
そう思っている間にベリアンは
美しい所作で紅茶を入れていく
私の前には いつもベリアンが選ぶようなティーカップの柄では無い、ティーカップが置かれた。
心に収めておこうと思っていた疑問が
口から零れてしまう。
でも、聞かないよりかは、いいのかもしれない
ベリアンは頬をほんのり赤くし、そう答えた
今見てみれば、確かに私の気に入っているハンカチの柄に似ているような気がした。
私のハンカチを見て、それを好きな柄と思い、私の為に似た柄のティーカップを買うなんて……
すごく可愛い
あぁ嬉しいな、私もなにかベリアンにお返しでも出来ないかな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。