目を覚ますと、そこは自分の部屋だった
起きたばかりだからか、頭がぼぅっとして何故ここにいるのか何があったのかイマイチ思い出せない
体を起こし、窓の方を見ると鳥の影が机の上を通り過ぎる
声を出すこともなく、口から息が漏れる
何故だろうか、何か大切なものを無くしてしまったような...
そんなことをぼやぼやと考えているとコンコンコンと3回ノックされた
パタパタとパジャマの上から上着を羽織る
ーカチャ
任務...
あの日、アクタの皆とサポーターと初めての任務に行って...それで...
フラッシュバックするように、先日のことが脳内をよぎる
鋭い爪と牙を持つ斑獣たち
皆の声
皮膚の切り裂かれる鈍い音
砂一面が赤黒く染まり、鉄のような匂いがマスク越しに届く
あなたはグリスの横へ抜け、急いで医務室へ向かった
どうして
どうして忘れていたの
少しの間でも私の身代わりになってくれたトウムを忘れてしまった自分のことが許せない
涙がボロボロと出てくる
まだ終わったわけではない
自分の目で確かめるまでは
それでもあの流れ出た血を思い出すと
もしもの事があってしまうのではないかと不安で堪らない
バンッッッッッッッ
勢いよく医務室のドアを開ける
1番奥のベットにだけ、カーテンがかかっている
恐る恐る、1歩、また1歩と奥へと重い足を進ませる
さっきまで知りたくて知りたくて堪らなかったのに、急に怖くなってしまった
心臓がうるさいのは走ってきたせいなのか、怖いのかどちらなのか分からない
シャー...
ゆっくりと慎重にカーテンをどかす
カーテンの音で寝ていたトウムは目を覚まし、ゆっくりとあなたの名前を呼んだ
トウムに手招きされ、おずおずとトウムの隣にあった椅子に座る
確かに、トウムの胸からトクン、トクンと音が聞こえる
その音に何処か安心して、一度は止まった涙がまた溢れ出す
トウムのその言葉に胸がじ〜んと暖かくなる













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!