私たちはテバさんを呼びに1年生の教室に来ていた。
するとテバさんははっとした顔で振り返る。
白く長い髪の毛がふわりと舞った。
周りのお友達に挨拶をする。
その中には、私の弟のシドの姿もあった。
ルージュちゃんの言葉は無視して私たちに近づいてきた。
そう彼らは歩き出すので、シドに小さく手を振ってから教室を後にした。
テバさんにそんなことを言われ、思わず頭を横に振る。
すると彼は少し優しく微笑んだ。
その時、リーバルさんが怪訝そうな顔をする。
3人とも一度黙ってみる。
確かに、足音や大きな声が絶えない。
いつも通りみんなふざけているだけかなと思いもしたが、そんな感じではない気もする。
なんていうんだろう、本気というか、必死というか……、
その話を聞いて、担任の先生を思い出した。
人が人を噛んじゃうなんて…、
多分、リンクのことだろう。
彼は「あー…、」と少し唸った後、すぐにごめんと謝ってくれた。
テバさんも呆れた顔で彼を見る。
気づけば保健室前に着いていた。
そう二人に手を振って、保健室に入る。
思わず言葉が止まる。
倒れている保健委員の生徒たちと、血まみれの先生。
臭いが鼻を刺し、汗が頬を伝う。
その声に反応したかのように、先生が痙攣しながら後ろを振り返る。
リーバルさんがそう叫び、先生に体当たりする。
彼の言葉に思わず我に返り、彼の手を取って立ち上がる。
その時、テバさんが扉から顔を覗かせる。
すると、体当たりを喰らって倒れている先生の体が再び動き出す。
私たちは慌てて扉から保健室の外に出る。
すると、先生のように血まみれの生徒たちが廊下を走ってこっちに来る。
リーバルさんはそう言い、私を誘導してくれた。
テバが教室から出た後、テスト期間前だと言うこともあり、少し勉強をしていた。
余裕そうな顔で全然分かってなさそうなシドと、辛うじて理解したようなユン坊を見て、やはりアウトプットは難しいと改めて自覚した。
逆にテバは教えるのが上手いから、少し習いたいところだ。
そんな会話が耳に入る。
そういえば、朝からそのような話題で学校中が持ちきりだったことを思い出す。
そんな話をしていると、教室の入り口の方から大きな音が響く。
違うクラスの人が教室の扉を叩いて叫んでいる。
ユン坊がすぐに反応する。
シドが誰よりも早く動いた。
そう言い扉を開けようとした瞬間、
叫び声がその場にいる全員の耳を突き刺す。
その後ろには、彼の首筋を噛んでいる血まみれの生徒がいた。
その瞬間、数人の血まみれの生徒が走ってきて、廊下側の扉や窓をどんどん叩く。
妾は思わずそう叫んでいた。
急いで妾のところへ戻ってくる。
そう言い、再び扉を叩いている生徒を見る。
虚な目で、口元は血塗れで、多分噛まれたところは肉が見えてグロテスク…、
教室内はパニックだった。
そりゃそうだろう。噂程度で話していたことが現実になるなんて、パニックになるには十分だ。
なんとか落ち着いてくれた。
ユン坊がそう聞いてくる。
そう答えた。
走りながら手を引かれ、目の前にいる彼女にそう聞く。
その時、目の前からまたゾンビが走ってくる。
前からも後ろからもゾンビが来る。
どうしよう……。
インパは私の手をぐっと握った。
私も握り返す。
その瞬間、インパは目の前にいるゾンビに向かって全力で突進した。
思わずそう叫ぶ。
けど気づいたらゾンビは後ろにいて、私たちは廊下を走っている。
後ろを振り向いて私に言う。
それから階段を降りて、一年の教室に向かう。
そのまま廊下を走っていると、
手が滑り、私はそのまま転んでしまった。
インパはそう叫ぶ。
ゾンビが私めがけて走ってくる。
死を覚悟した瞬間、
ゾンビの後ろから、何かがやつの頭を貫く。
それが引っこ抜かれると、頭を貫かれたゾンビがばたりと倒れた。
その後ろにいたのは、リンクだった。
そう、なんでもないような平然とした声で言う。
私の中で、初めて彼が喋った瞬間だった。
インパが駆け寄ってくる。
私はハッとし、すぐに立ち上がる。
すると前からゾンビが来ていた。
後ろからもゾンビが走ってきている。
その時、リンクが先が尖った長い棒のようなものを持って、前に出る。
それを槍のように構え、飛び出した。
インパがそう声をあげても彼は止まらない。
そのままゾンビたちの頭を狙って突き刺す。
刺さったゾンビの体を蹴り飛ばし、違うゾンビたちを刺していく。
丁寧に、一人一人対処している。
バキッと棒が折れる。
そう呟くようにいう。
その瞬間、彼の後ろからゾンビが掴みかかろうとしていた。
その瞬間、彼は背負い投げをゾンビにする。
そして、倒れたゾンビの頭を踏み潰した。
あらかた片付いたところで、彼は棒を私達目掛けて投げる。
しかし、それは私たちにあたることなく、
グサッ
私たちのすぐ後ろにいたゾンビに刺さった。
そう冷たくいう。
そんなインパの言葉を遮る。
そう言い、刺さった棒を取ろうともせず、そのまま歩いて行った。
私たちも、彼の後をついて行った。


































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!