「 ねえ待って、………アイス食べたくね? 」
『 …………………天才? 』
お風呂を上がって彼に髪を乾かしてもらうのが、
お泊まりの時のお約束ごとになっている。雲雀は私の
長い髪を触るのが好きで、だからいつも彼はドライヤー
片手に、「乾かしてあげる!」なんて嬉しそうに
言ってくれるのだ。
いつものように髪を乾かしてもらったあと、雲雀は
そんな誘惑をする。お風呂上がりのアイスほど
美味しいものはない。
目を合わせてどちらともなく、にいっと笑うと、
お揃いの部屋着を着たまま外に出る。
すっかり真っ暗になった道を、雲雀と二人、
手を繋ぎながら歩く。
コンビニまで向かうだけの、ちょっとしたデート。
『 みて、今日めちゃめちゃ星綺麗! 』
「 うわマジやん、あれは?ベテルギウス?
みたいなやつどれ? 」
『 えよく知ってるね!?でも私もわかんない 笑 』
「 なんか歌詞で覚えた!笑
じゃあ……あれ!ベテルギウスにしよ! 」
そう言って雲雀は適当な星を指差す。
絶対違うじゃん!なんて笑うと横で違うかあ、
なんて彼も笑った。
𓂃⟡.·
コンビニに到着して、アイスコーナーに直行!
…の前に、入ってすぐ、レジ横のコーナーに
おでんが置いてあるのが目に入った。
『 雲雀、みて!おでん売ってるよ! 』
「 うーわ、おでんアリすぎるなぁ 」
『 味染み染みの大根と目が合っちゃった…
こーれ、買いです 』
「 やっぱおでんは大根よなぁ~。
あ!俺卵も食いたい! 」
二人で好きな具を器用にトングで器に詰めると、
満足そうに笑って頭を撫でられた。
ウキウキでレジに並んで、お会計。
お会計を済ませてコンビニの外に出ると、
雲雀は我慢できないらしく、口を使って片手で
器用に割り箸を割った。
「 ちょっとだけ食べね?これだけ! 」
『 んは、いーよ?お先どーぞ。 』
駐車場の端で、お箸で大根を半分に割ってくれる。
少しだけ小さい方を雲雀が食べて、熱そうに、
はふはふしながら食べてるのが可愛くて思わず
笑ってしまった。
そのあと、半分にしたうちのもう片方の大根を、
一口分のサイズに割って、ふーふーしてから私に
差し出してくれる。
『 …!うわ、さいっこう....やっぱ冬はおでんだぁ… 』
「 このさぁ、味ビッタビタに染みてんのがいいんよな~ 」
『 分かる〜、はぁ、沁みるなぁ 』
一緒に来た道を急ぎ足で帰り、家に着いて一緒に
残りのおでんを食べる。賑やかだった器の中は、
あっという間にすっからかん。ぽかぽかしたまま
雲雀にぎゅーっと抱きつく。
「 …………あれ、なんか忘れてね? 」
『 えー?なんだっけ…わかんない。笑 』
まあ、忘れるってことはそんな大したことではないか。
と、私たちは歯を磨いて寝る準備。
雲雀が先にベッドに潜って、腕を広げて私に
おいでのポーズ。ふふ、と笑うとその胸の中に
ダイブして、雲雀の腕の中にすっぽりおさまる。
あー、この温もり落ち着くなあ、なんてうとうと
しながら今日の出来事を振り返る。
……………………………………あ。
『 雲雀、わかった。…アイス買い忘れた! 』
「 あ!!!えホンマや、アイス買いに行ったのに!ww 」
あははっと二人で笑って、じゃあ明日買いに
行こうね?と約束して、そのまま一緒に眠った。
一緒に、夢の中でも、私達はデートをしよう。
そんな、小さなしあわせ。
いつだったかコメチャレに壁打ちしたやつ!











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!