「はい、かんぱーい!!!」
「かんぱーいっ!!!」
体育館の飾りつけは完璧だった。
カラフルなガーランドに、スモーク、シャボン玉──完全にパーティー会場じゃん、これ。
「……え、え、えっ、待ってみんなこれ、ほんとに?」
ぽかんと見回す私に、耳郎さんがウインク。
「もちろんガチです。今日は、あなたの下の名前先生と相澤先生の“祝・婚約記念大宴会”なんで!」
おおお……って、泣いちゃうんですけど!?
「ほんとに、ありがとう……! もう、ほんと、ありがとう~……!!」
「先生泣くの早いって!」
と、芦戸さんに笑われた。ちょっと失礼じゃない?
それからは、怒涛のように押し寄せる愛の波。
みんなが色々な余興を披露してくれた。
そして―
「あなたの下の名前先生、ここ座ってください!」
と、みんなに促されて中央の椅子へ。
「今日この日のために、みんなでこっそり作りました!」
耳郎さんが掲げたのは──
《感謝と祝福のメッセージアルバム》
「えっ、うそ……!」
ページをめくるたび、胸が熱くなる。
先生の笑顔が、毎日の元気です
恋愛相談のってくれてありがとう
相澤先生とお似合いすぎて泣いた
あなたの下の名前先生が来てくれて、A組はもっと家族になった気がします。
あなたの下の名前先生を泣かせたら相澤先生を殴ります
「……あーもう、だめ、泣く……!」
目の前がぼやけてきたところで、誰かがそっと私の肩に上着をかけた。
「……こいつら、ほんと、やりすぎだ」
低くて、落ち着いた声。
私の横に、そっと座る人。
「……ほんとに。もう、ずるいよね」
「……うん。でもまあ、生徒たちにこんなにも愛されているのはお前の人柄あっての事だろ」
「……っ、バカ……!」
目尻を拭きながら、思わず笑ってしまう。
この人に出会えて、このクラスに出会えて、ほんとにほんとによかった。
宴会は、夜が更けても終わらない。
誰かが歌い、誰かが踊り、誰かが照れくさそうに「おめでとう」と言う。
その全部が、私の宝物だった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!