前の話
一覧へ
次の話

第10話

ゆめを、みる。
126
2023/03/26 13:31


私はよく、夢をみる。気がつくとそこは空虚な場所。

私は当てもなく歩く。まるで誰かを探し求めるように。

ある日も私は夢をみる。でも、いつもとは違うんだ。空虚だけれど、限りなく冷たくて、限りなく悲しい。そんな感じ。私はただ、立ち尽くすことしか出来なくて。そうしていると見知った人が現れたんだ。

『風丸……さ……ん……?』

そこには、雷門のユニホームを着た風丸さんが立っていた。けれど、何も話さないし、顔は無表情。

ただ怖い。私の頭に耳鳴りが響く。だんだんと頭痛がして、足がすくんで、そして。

「サッカー、やろうぜ?円堂」

あの日の風丸さんがフラッシュバックする。

「お前が、俺を置いていったからだ。」

無表情の風丸さんが小さく呟く。

「俺があんなにも努力をしてたのに、お前がそれを超えていくから」
「だから俺は、エイリア石に頼ってしまった。」

やめてよ

「こうなったのは、ぜんぶ」

もうやめてよ





「お前のせいだ。」





『ぅぁぁぁぁ………』

目が覚めた。頭が痛い。体が動かない。

『かぜ……まる…さ…』

隣を見ると、風丸さんがすやすやと眠っていた。

「ん……?どうした……?」

私の声で目が覚めたようだ。

『ごめんなさ……っ……わたしの……せいで……』

私は声を枯らして話す。風丸は眉を下げて

「また、見たんだな?」

と、私に問いかける。私がコクリと頷くと、抱きしめてくれた。

ごめんなさい。風丸さん

プリ小説オーディオドラマ