私はよく、夢をみる。気がつくとそこは空虚な場所。
私は当てもなく歩く。まるで誰かを探し求めるように。
ある日も私は夢をみる。でも、いつもとは違うんだ。空虚だけれど、限りなく冷たくて、限りなく悲しい。そんな感じ。私はただ、立ち尽くすことしか出来なくて。そうしていると見知った人が現れたんだ。
『風丸……さ……ん……?』
そこには、雷門のユニホームを着た風丸さんが立っていた。けれど、何も話さないし、顔は無表情。
ただ怖い。私の頭に耳鳴りが響く。だんだんと頭痛がして、足がすくんで、そして。
「サッカー、やろうぜ?円堂」
あの日の風丸さんがフラッシュバックする。
「お前が、俺を置いていったからだ。」
無表情の風丸さんが小さく呟く。
「俺があんなにも努力をしてたのに、お前がそれを超えていくから」
「だから俺は、エイリア石に頼ってしまった。」
やめてよ
「こうなったのは、ぜんぶ」
もうやめてよ
「お前のせいだ。」
『ぅぁぁぁぁ………』
目が覚めた。頭が痛い。体が動かない。
『かぜ……まる…さ…』
隣を見ると、風丸さんがすやすやと眠っていた。
「ん……?どうした……?」
私の声で目が覚めたようだ。
『ごめんなさ……っ……わたしの……せいで……』
私は声を枯らして話す。風丸は眉を下げて
「また、見たんだな?」
と、私に問いかける。私がコクリと頷くと、抱きしめてくれた。
ごめんなさい。風丸さん
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。