2025年、12月29日。
あの日、自習室で世界が止まってから、もうすぐ一年が経とうとしている。
今の私の周りには、新しい「好き」が溢れている。
かつての私なら見向きもしなかったかもしれない世界。
世界は、思っていたよりもずっと広く、色彩に満ちていた。
「井の中の蛙、大海を知らず」
かつての私は、あの七色の光だけが世界のすべてだと信じ込んでいた。
けれど一度その外へ踏み出してみれば、そこには無数の灯火(ともしび)が輝いていたのだ。
もちろん、ふとした瞬間に彼らと今の「好き」を比べてしまうこともある。
「あの時はこうだったな」と、胸の奥が少しだけ疼くこともある。
けれど、そんな自分も今は丸ごと受け入れられるようになった。
それほどまでに、誰かを、何かを、心の底から愛せたという事実は、
私の人生においてかけがえのない財産だから。
ふと、彼らのデビュー当時の映像を見返してみる。
4人から7人へ。
必死に未来を掴み取ろうとしていた、あの頃の彼ら。
以前なら、それを見るだけで「裏切られた」という痛みが再燃していたかもしれない。
けれど、今の私の心は、驚くほどに穏やかだった。
(ああ、やっぱりこの7人が笑っている姿が好きだな)
そう、純粋に思えた。
彼らが選ぶ道も、彼らが守る幸せも、今は遠い空の向こうのこととして、真っ直ぐに願うことができる。
私の執着はいつの間にか消え去り、あとには温かな「感謝」だけが残っていた。
こんなにも素敵な「今」に出会えたのも、あの日、彼らが私を見つけてくれたからだ。
あの日々があったから、私は「好き」という感情の尊さを知った。
絶望を知ったから、自分を大切にする方法を知った。
自分の「好き」を貫くことが、何より自分を救ってくれる。
私の人生に虹をかけてくれた7人へ。
そして、泥だらけになりながらも今日まで歩いてきた私自身へ。
心からの「ありがとう」を込めて、私は今日、新しい手帳の真っ白なページを開く。
そこにはもう、決まった色なんてない。
これからは、私が選んだ色で、私の人生を自由に描いていこう。
(完)











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。