鯉に餌を存分にあげ終え、静かな道を2人歩く。
歩きながら、私は初めて鯉に餌をあげた感想を不死川さんに熱烈に話していた。
頭上でたまに見せる不死川さんの笑顔が、どこか物珍しい。
ぼーっと不死川さんの横顔を見ていると、奥の方から女性の叫び声が耳を刺した。
ハッと正面を見ると、いつの間にか人通りの多いところに出ていた。
恐らく誘拐か、?
子供を強引に奪い取り、母親らしき人は倒れていた。
私は見過ごせず、足に力を入れ、思いっきり走った。
追いつくと、私より頭2つくらい大きい男性の腕を掴んだ。
大柄の男が私に殴りかかろうとするので、当然のように片手で止める。
これまでどれだけ死ぬほど鍛錬を積んできたと思っているんだ。
私は男の胸ぐらを掴み、顔を近づけた。
男は子供を手放すと、転がるようにどこかへ走って行った。
私は、泣きじゃくる子供の背中を摩り、もう安心だよーと声をかけた。
その時、母親と思われる女性が、こちらへ走ってきているのが見え、その人に子供を返した。
子供の母親は、涙を流しながら私に頭を下げた。
なんか照れるし、そこまで感謝されるようなことはしてないのに、大袈裟に礼を言われる状況に、少し照れくさかった。
母親が子供を連れてその場を去ると、不死川さんが歩いてくる音がした。
すると、不死川さんは私の頭を軽く撫でた。
そして、私と不死川さんの楽しいお出かけは終わった。
蝶屋敷で別れ、帰路につくと、後ろから急に抱きしめられた。
背中から感じる…この息ができなくなるこの力…背中に当たっている弾力…そして鼻をかすめる桜餅の匂い…
大正コソコソ噂話
あなたちゃんは昔はいい性格(悪い意味で)だったので、その名残りなのか、怒ってる時とかは、笑ってはいるけど目が人を刺すような目をしてるので、不良でも大分たじろぎます。
あなたちゃんの笑顔は、決していつも心から笑ってるのではなく、厚化粧してるような感覚です。
いつも心では家族が死んだショックとか、自分が不甲斐ないとかマイナスなことばっか考えてるので、心から笑ったことは、家族が亡くなってからないです。
でも、不死川さんと出かけてる時は、一瞬忘れられて、本当に久しぶりにちょっとだけ心から笑えたそうです。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。