話し終わって、静かに聞いてくれていた赤葦くんは一言だけ。
って言った。それがひどく心にささって、涙がでそうだった。でももう泣かないって決めたから。泣かない。強いぞ自分。
時計の針は5時を回ったところだった
なんていい友人を持ったんだろう。ほんとに感謝しかない
その時ドアがガタって揺れた、え?泥棒?!
雪ちゃんとすずちゃん先輩がハイタッチをして満面の笑みを浮かべている。ああ天使だ。すると、赤葦くんが手を出してきた。んん??
パンっ!といい音がなって自然と笑顔になる
木兎さんが騒ぎ出したのでひとまずこっちもハイタッチ。ああやばい涙腺緩む。
帰る支度をして帰路につく。途中で家の方向が逆な雪ちゃんと木兎さんと別れて3人で歩く。
自然と顔が緩んで返事もゆるゆるになる。1番最初に家に着くのが私だ。あーあ近いよ。自分の家。
2人にお礼を言って家に入ろうとして背中を向けると、呼び止められた。
今までで1番いい笑顔だった気がした。振り返ってVサインを送る。赤葦くんもVサインを返してくれて。また顔が緩んで心がうはうはする。そんな上機嫌なまま家に入ってきた娘をなんだこいつというような目で母親に見られながらも顔の筋肉が戻ることはなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。