第5話

春③
607
2019/04/02 11:48
話し終わって、静かに聞いてくれていた赤葦くんは一言だけ。
赤葦京治
赤葦京治
お疲れ様
って言った。それがひどく心にささって、涙がでそうだった。でももう泣かないって決めたから。泣かない。強いぞ自分。
如月 律
如月 律
って部活は?ごめんこんなに時間とっちゃって、、
時計の針は5時を回ったところだった
白福雪絵
白福雪絵
それならさっきかおりさんから今日は会議あるからないって連絡きてたから大丈夫〜
赤葦京治
赤葦京治
これでもう、怖いことないな。俺も守るよ、安心してよ男バレはいい人たちばっかりだよ
白福雪絵
白福雪絵
そうだよ〜りつ一緒にマネやろう〜
如月 律
如月 律
2人とも本当にありがとう〜〜
なんていい友人を持ったんだろう。ほんとに感謝しかない
その時ドアがガタって揺れた、え?泥棒?!
雀田かおり
雀田かおり
ちょっと!!木兎押さないでよ!
木兎光太郎
木兎光太郎
ごめんかおりーそんな怒るなって〜
赤葦京治
赤葦京治
何してるんですか。木兎さん、雀田さん。
木兎光太郎
木兎光太郎
うげぇ、あかーし目ざといなぁ
雀田かおり
雀田かおり
ほらっ!入って!挨拶!
木兎光太郎
木兎光太郎
お、おう、俺は木兎光太郎だっ!男子バレー部の主将だ!
如月 律
如月 律
は、はぁ
木兎光太郎
木兎光太郎
それでな、あれだ、うーんと
雀田かおり
雀田かおり
今の話聞いてたけど、ほんとにバレー部はいい人しかいないよ!みんなで守るからりつも一緒にやろうよって
如月 律
如月 律
すずちゃん先輩まで、、
木兎光太郎
木兎光太郎
そうだ!俺が言いたかったのはそれだ!
赤葦京治
赤葦京治
ほら、どうするの如月さん
如月 律
如月 律
やりたい!やらせてください!
白福雪絵
白福雪絵
よっしゃぁ〜
雪ちゃんとすずちゃん先輩がハイタッチをして満面の笑みを浮かべている。ああ天使だ。すると、赤葦くんが手を出してきた。んん??
赤葦京治
赤葦京治
ほら、ハイタッチ
如月 律
如月 律
うんっっ!!
パンっ!といい音がなって自然と笑顔になる
木兎光太郎
木兎光太郎
俺も!おれもする!
木兎さんが騒ぎ出したのでひとまずこっちもハイタッチ。ああやばい涙腺緩む。
如月 律
如月 律
みなさんほんっっっとにありがとうございます!よろしくお願いします!!
帰る支度をして帰路につく。途中で家の方向が逆な雪ちゃんと木兎さんと別れて3人で歩く。
如月 律
如月 律
明日、見学行ってもいいですか?
雀田かおり
雀田かおり
もちろんだよ!その前に職員室寄って入部届もらってきな!
如月 律
如月 律
はい!わかりました〜!
自然と顔が緩んで返事もゆるゆるになる。1番最初に家に着くのが私だ。あーあ近いよ。自分の家。
如月 律
如月 律
今日はありがとうございました!明日よろしくお願いします!!
2人にお礼を言って家に入ろうとして背中を向けると、呼び止められた。
赤葦京治
赤葦京治
如月さん!待ってるよ
今までで1番いい笑顔だった気がした。振り返ってVサインを送る。赤葦くんもVサインを返してくれて。また顔が緩んで心がうはうはする。そんな上機嫌なまま家に入ってきた娘をなんだこいつというような目で母親に見られながらも顔の筋肉が戻ることはなかった。

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