勇気を出して告白して、
付き合うようになってから1ヶ月が経ったある日。
雨が降る帰り道を傘をさしながら2人で並んで歩く。
会話は特になくて。
付き合ったら、手を繋いで歩いたり、
抱きしめ合ってキスしたりすると思ってた。
でも今まで、そーゆーコトは一切なくて。
─ 私のコト、本当はどう思ってますか?
聞きたくても聞けなくて、
立ち止まって歩き続ける彼の背中を見る。
振り返って不思議そうに私を見る彼。
そう言って歩き出して彼の隣に立つ。
再び歩き出そうとすると、
彼は私の腕を掴んで聞いてくる。
─ 本当のキミを 知りたいです
目が眩むほどキラキラした彼に恋をして。
そんな彼をいつも遠くから見ていて。
─ 今は近くにいるのに、すごく遠い
涙は拭っても、拭っても溢れてきて。
傘を持つ手に温もりを感じて顔を上げると、
目の前には彼の顔。
名前を呼ぼうとする唇が彼の唇とそっと重なって。
.
『…ヒミツ…』
そう言ってまた唇を重ねてきて。
最高の甘い笑顔で嘘をついた彼は
いつでもシークレット ─
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!