俺は思った。今更だが、なんで紫音とそんなに話しがっているんだろう?
可哀想だから、ではない。第一、人に勝手に「可哀想」と思われるのが最悪なこともわかってる。
俺はふと思った。
紫音の笑顔。紫音の表情に見覚えを感じて以来、紫音の顔をよく見るようになった。その時は本に夢中になって熱心な顔や寂しそうな顔を見た。でも、笑顔は一度も見たことがない。
俺はポツリと呟いた。
笑顔じゃないとか、つまんないじゃないか。笑顔にしてくれる人が居ないのか?なら、簡単だ。
俺が魂心の話術(?)で紫音がひっくり返るくらい笑わせてやる。俺が楽しませてみせる!新しい目標を掲げ、明日の作戦を考えることにした。
「面白くないから」という理由も間違ってはないだろう。
でも、それ以上に。俺は紫音の笑顔が見たかったのかもしれない。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!