第16話

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2023/04/04 16:00 更新
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そういえば、いふくん何で戻ってきたの?
もしかして、告白の返事を催促するつもりなのかという考えが、僕の頭を過る。
でも、優しいいふくんのことだ。
相手を急かすようなことはしないはず。
そう分かっているのに、いふくんへの返事をしなきゃと焦っている自分がいた。
いふくんは、僕の問いに、少し考える素振りを見せて、
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……あ〜…落とし物してもうたんよなぁ…
と、苦笑を浮かべた。
少し安堵しながら、さっき拾った写真を取り出す。
綺麗な群青色の長髪をなびかせて、こちらに微笑みかける、綺麗な女性の写真。
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もしかして…これ?
そっと、いふくんに見せてみると、いふくんが綺麗な群青色の目を輝かせて、嬉しそうに笑った。
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それやそれ!ほんま良かったぁ…!ありがとーな!
僕から写真を受け取り、大事そうに抱えるいふくん。
相当大事なものなんだなぁと、思わず頬が緩む。
これだけ綺麗な女性だ。
多分、いふくんの元元カノ…なのだろう。
…もしかしたら、今カノかもしれないけど。
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( まあ、いふくんはそんな不誠実なことはしないか )
生まれた可能性を、自分の中で塗りつぶす。
彼を恋愛的に好きじゃないとしても、友達として、そうであってほしくなかったんだ。
…不誠実なことをしているのは、こっちの方ではないか。
彼のキラキラした笑顔が心に染みて、少し俯く。
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( ……いふくんが、こんなに僕と真剣に向き合ってくれてるんだから… )
心の整理は、もうとっくについている。
僕は、頬を緩ませて、写真を見つめるいふくんの顔を見つめて、口を開いた。
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…ねぇ、いふくん……
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ん?どしたん?
少し声のトーンが低くなった僕の様子に、何かを察したのか、心配そうな表情を浮かべて、僕の目を真っ直ぐに見つめた。
僕は、震える口を、ゆっくりと開いた。
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…いふくんとは、付き合えない
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ぇ…。な、何で…?
変にオブラートに包んで、いふくんを逆に傷付けるのが嫌で、真っ直ぐな思いをぶつける。
いふくんは、少し震えた声で、言葉をこぼした。
いふくんの表情を見て、胸が締め付けられた。
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……いふくんはさ、僕のことほんとは好きじゃない
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な、何言ってん!?俺はほんまに、ほとけのこと…!
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それ以上は言っちゃだめ
僕の言葉に、焦ったように身を乗り出すいふくんの口に人差し指を当てて、言葉を遮る。
いふくんの表情に浮かんでいるのは、悲しみではなくて、安心の色だった。
どこかほっとしたような、そんな表情。
彼のことだ。
僕が倒れたのは自分のせいだと勘違いして、守らなきゃという正義感を、恋と間違えてしまったのだろう。
僕は、笑みを浮かべて、小さく口を開いた。
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…そのブレスレットも、その香水も、その表情も……
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僕を好きって言ってない
腕に光る、薄い桃色のブレスレットに、いつも通りの香水の匂い。
その全てが、ないちゃんを好きだと物語っていて、彼の不器用さに、思わず焦れったくなる。
優しくて不器用な君が、やっぱり大好きlike__。
続く

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