第15話

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2026/01/30 09:59 更新

俺は膝にスマホを置き、ため息をひとつついた

頭の奥に鈍い痛みが残っている
喉の奥もまだ乾ききっているのにそれでも……
”伝えておかないと”


指先で画面を開けば、そこには彰人と、小豆沢と白石との4人のグループチャット


しばし迷ったあと、俺はゆっくりと文字を打ち込んだ
TOYA.
『すまない。体調不良になってしまって、しばらく学校に行けそうにない。練習やライブも参加出来ない』

送信ボタンを押した瞬間、画面に次々と『既読』の文字がつく
朝の登校中だからか、すぐに返信が返ってきた
AN,
『おっけー!無理せずにゆっくり休みなね~!』
KOHANE,
『大丈夫だよ!練習のことも気にしないでね。お大事に』
それを見て、少しだけ胸が和らぐ

けれど──
既読は3つついているのに、彰人からの返信だけがない


……まさか、気付かれた?


胸が締め付けられるように苦しくなった瞬間、個別トークの通知が鳴った
慌てて開いたそこには、短いけれど真っ直ぐな言葉が並んでいた
AKITO,
『大丈夫か? 冬弥が体調不良とか珍しいな
…ま、早く治せよ。お前がいねえと歌うの楽しくねえから』
TOYA.
彰人……
その言葉に、俺の胸はさらにぎゅっと痛み、思わずスマホを強く握りしめてしまった
TOYA.
『ああ。ありがとう、彰人』
送信ボタンを押す指が少し震える
頭に彰人の顔が浮かび、胸が痛む
返した言葉は簡潔だが、想いは複雑で表せないまま


深く息をつき、立ち上がる
ガレージの奥に置かれたペットボトルの水を手に取り、再びうがいをする
まだ完全に気持ち悪さが抜けきっていないが、
それだけでも少し落ち着いた


着替えを持ち、ガレージから出て母屋へ向かった
とりあえず先輩に言われた通り母屋の風呂に入る
少しでも身体を清めて、気分をリセットしたかった


静かな廊下を歩きながら、今日もまた先輩に頼らなければならない自分を少しだけ情けなく思う

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