第27話

鍛錬、会話
102
2024/06/18 09:00
No side

翌朝、あなたの朱音がいない中庭で‥
ロノ
にせんさんじゅういち‥にせんさんじゅうに‥
ロノ
も、もう‥腕が限界だ‥
ハウレス
ふっ‥ふっ‥
中庭でロノとバスティンは昨日のつまみ食いの罰としてトレーニングをしていた


ロノ
はぁ?なんでハウレスは平気そうなんだよ!
ハウレス
だから「さん」をつけろと言ってるだろ
ハウレス
ほらロノ、腕が止まってるぞ、もう少し頑張れ
ロノ
もうムリだって〜
バスティン
ふっ‥ふっ‥
ハウレス
バスティンは涼しい顔をしてるぞ?
ハウレス
あいつに負けていいのか?
ロノ
ぐっ‥それだけは‥
ロノ
にせんさんじゅうさん‥にせんさんじゅうよん‥
そして30分後、無事全てのメニューを終えたロノは地面に崩れ落ちた

ロノ
やっと終わった〜
バスティン
はぁ‥はぁ‥
ハウレス
よし、よく耐えたな
ハウレス
二人ともこれで反省したか?
ハウレス
もう舞踏会でつまみ食いなんてするなよ
ロノ
へ〜い
バスティン
ロノ
ってか、俺らの罰なのに‥
ロノ
なんでハウレスまで一緒にやってるんだ?
ハウレス
俺は、毎日のトレーニングメニューをこなしているだけだからな
ロノ
こ、これを毎日やってんのか!?
ロノ
マ、マジかよ‥
バスティン
ふん‥
ロノ
あっ‥お前、今オレを見て笑いやがったな?
バスティン
別に笑ってない‥自意識過剰じゃないのか?
ロノ
なっ‥くぅ‥いちいち煽ってきやがって‥!
ハウレス
おい、お前ら‥喧嘩するな
ハウレス
喧嘩をする体力が残っているなら、もう1セット行くか?
ロノ
絶対イヤだ!
ハウレス
なら、喧嘩はやめるんだ
二人はふんとそっぽを向き合った
ハウレス
はぁ‥お前らはもう少し仲良くできないのか?
ハウレス
お前ら二人が協力すれば‥天使狩りももっと楽になるというのに‥
ロノ
オレは別に協力してやってもいいけど
ロノ
このキツネ野郎が、オレのスピードについて来れねぇんじゃねーの?
バスティン
どうせロノは俺のスピードについて来られない
バスティン
それなら俺一人で戦った方がいい
ロノ
はぁ?じゃあ今ここでどっちが強いか証明しようじゃねぇか?
バスティン
‥‥来い、望む所だ
ハウレス
やめろ二人とも
ハウレス
お前達の戦う相手は天使だ
ハウレス
仲間同士で争ってどうする‥
ロノ
うるせぇ!ほら!早くかかってこい!
バスティン
ロノの方から来い、せめてものハンデだ
ロノ
ぐぬぬ‥この減らず口が‥
ハウレス
いい加減にしろ!二人とも!
ロノ
うっ‥
バスティン
ロノ
チッ‥こんなキツネ野郎と誰が協力なんてするかよ!
バスティン
こっちのセリフだ
ハウレス
はぁ‥どうにかしてこいつらを協力させる方法はないだろうか‥
ハウレス
そうだ!お前ら、握手でもしてみたらどうだ?
ロノ
握手!?
ハウレス
そうだ、少しは互いに協力の精神が芽生えるかもしれないぞ
ハウレス
ほら、二人とも手を握ってみろ!
ということで半ば強引に二人は握手をすることになった

ロノ
うわっ!手が腐る!
バスティン
念入りに消毒しないと‥
ハウレス
お前ら‥はぁ‥もういい、とりあえず今日は解散だ
ロノ
へ〜い
バスティン
ふん‥腹が減ったな
そう言いロノとバスティンはパレスの中に戻っていった
ハウレス
はぁ‥全くあいつらは‥
フェネス
朝からご苦労様だね、ハウレス
ハウレス
全く、あいつら二人は全然協力しようとしないし‥本当にどう扱っていいのやら
フェネス
だけど、なんだかんだハウレスの言う事は聞いてるじゃない?
ハウレス
は?どこが?
フェネス
鬼教官の強制腕立てメニューをこなすなんて普通できないって
ハウレス
誰が鬼教官だ
フェネス
フフッ、冗談だよ
フェネス
でも、あの二人はなんだかんだハウレスの事は尊敬していると思うよ
フェネス
バスティンだって、ハウレスの言うことには従うことが多いし
ハウレス
そうか?フェネスは甘いからな
フェネス
君がムチだからね
フェネス
せめて俺はアメでいてあげなくちゃ
ハウレス
ふん‥俺もムチばかり振るのは疲れるんだけどな
フェネス
じゃあハウレスがアメの役をする?
フェネス
ロノに「偉いぞ、さすが!」なんて言える?
ハウレス
‥絶対に無理だな‥
フェネス
ほらね、アメだってそれなりに大変なんだよ?
ハウレス
そうだな、じゃあ、当分アメはお前に任すよ
フェネス
了解、鬼教官様の仰せのままに‥
ハウレス
はっ‥揶揄うなよ
フェネス
でも、ハウレス
フェネス
屋敷の執事達がなんとかまとまっているのはハウレスのおかげだよ
ハウレス
ん‥?いきなりどうした?
ハウレス
褒めても何も出ないぞ?
フェネス
主様が居なかった間‥なんとか天使達を防げていたのは‥
フェネス
ハウレスが先頭に立って、みんなを導いてくれたおかげだ
フェネス
本当に感謝してるよ
ハウレス
別に、俺だけの力ではないだろう
ハウレス
全員の協力があってこそだ
フェネス
それはそうだね
フェネス
だけど、以前と比べて天使達の数も力も増えている
フェネス
俺達悪魔執事がもっと力を合わせないと‥
フェネス
この先、かなり危なくなるだろうね
ハウレス
確かにな
ハウレス
主様が来て下さったとはいえ、油断はできない
ハウレス
俺たちが一人でも欠けたら、それこそ人類の危機だ
フェネス
だからこそ‥頼りにしてるよ、リーダー
ハウレス
フェネス‥随分、人任せな言い方だな
フェネス
勿論、俺にできる事はなんだってやるよ
フェネス
‥問題児へのお説教以外はね
ハウレス
あぁ〜あ、損な役回りはいつも俺だ
フェネス
ふふ‥

そしてその日の昼過ぎの一階の執事室では
ルカス
お邪魔するよ、ベリアンはいるから?
ベリアン
おや、ルカスさん
ベリアン
審問会が終わったのですね?
ルカス
うん‥もうクタクタだよ
ルカス
やはり正装のローブは肩が凝るね
ベリアン
ウフフッ‥よく似合ってますよ?
ルカス
はぁ‥疲れを取るために、ベリアンの紅茶を飲みたくなってね‥
ベリアン
なるほど‥ちょうど、いい紅茶を仕入れたので、今淹れますね
ルカス
へぇ、それは運がいい
ベリアン
さぁ、どうぞ
ルカス
ん〜、いい香りだ
ルカス
この薔薇のように華やかで、ほんの少し刺激的な独特の香り‥
ルカス
これは、ウバの紅茶かな?
ベリアン
流石ルカスさん、お目が高い‥
ルカス
ベリアンの紅茶は他とは格別だ
ルカス
本当にキミは、昔から紅茶を入れるのが上手だね
ベリアン
そう言ってもらえると嬉しいです
ベリアン
そういえばルカスさん、最近ミヤジさんとはどうですか?
ルカス
あぁ、ミヤジとは‥相変わらずだね
ベリアン
ミヤジさんは頑固ですからね
ルカス
あれは頑固っていうほどの生易しいものじゃないさ
ベリアン
そうですね、よければ私が間を取り持ちましょうか?
ルカス
いや、それはやめた方がいい
ルカス
ミヤジはそういうの、余計嫌うだろうし
ベリアン
確かにそうですね
ルカス
まぁ、そのうち自分でどうにかするさ
ルカス
ありがとうベリアン
ルカス
いつも気を遣わせて悪いね
ベリアン
いえいえ‥
ベリアン
そうだ、そういえば審問会はいかがでしたか?
ルカス
はぁ‥それが‥
ルカス
もうサルディス家はカンカンだよ
ベリアン
舞踏会でのラトくんのことですよね
ルカス
あぁ‥サルディス家の貴族は、ラトくんに怯える姿を他貴族に見せてしまった
ルカス
プライドの高いサルディス家からしたら怒っても当然だろう
ルカス
しかし、今回の件‥サルディス家にとっては、我々にイチャモンをつけるいい機会になったかもしれないね
ベリアン
と言いますと?
ルカス
以前から彼らは、私たちグロバナー家を以前から妬んでいたし‥
ルカス
今回の件をダシにして‥悪魔執事の評判を下げようと裏で画策するだろう
ベリアン
なるほど‥彼らは余程私たちの存在が邪魔なんでしょうね
ベリアン
はぁ‥天使達によって、人類は滅亡の危機にあるというのに‥
ベリアン
貴族は、貴族同士で潰しあうというのは残念ですね
ルカス
全くその通りだ
ベリアン
人が権力に拘り、争う姿を私も随分と見てきました
ベリアン
‥もう、見すぎて慣れてしまいましたけど‥
ルカス
ベリアンが言うと説得力があるね
ルカス
おっと、話が逸れてしまった
ルカス
サルディス家を怒らせてしまった件だが‥
ルカス
今回は、特に外交問題とまでは発展しなかったから安心していい
ルカス
厳重注意で済んだよ
ベリアン
そうですか、それは不幸中の幸いですね
ベリアン
昨日の舞踏会は、あくまでも4つの貴族の親交を深めるためのもの‥
ベリアン
表だった対立は避けたいのは、両家とも同じと言うわけですか‥
ベリアン
お偉い様方には色々と建前がありますものね
ルカス
あぁ‥そこでだが‥
ルカス
グロバナー家とサルディス家の対立を、緩和させるため‥
ルカス
私たち悪魔執事は、特別な依頼を引き受けることになった
ベリアン
特別な依頼?どんな依頼ですか?
ルカス
ここから東のサルディス家の領地にある、とある街で‥
ルカス
妙な噂が立っているらしいんだ
ベリアン
妙な噂?
ルカス
あぁ、どうやら噂によると‥
ルカス
その街には死神が出るらしい
ルカス
街の住人の報告では‥夜な夜な、黒ずくめの大ガマを持った人物がうろつき、『ザク‥ザク‥』と不気味な音が聞こえるとか‥
ルカス
その音は、死神が人の首を切ってる音なんじゃないかと‥街の住民も恐怖しているみたいなんだ
ベリアン
死神ですか‥それは興味深いですね
ベリアン
つまり、その死神の調査が今回私たちに寄せられた依頼ということですか?
ルカス
そういうこと
ルカス
噂の街はサルディス家の領地だから‥
ルカス
今回、私たちが死神の謎を解決するということで、サルディス家の方々の機嫌を直してもらおうというわけだね
ベリアン
なるほど‥
ベリアン
天使狩りではなく、謎の死神の調査とは‥
ベリアン
専門外な気もしますけど、引き受けるしかありませんね
ルカス
こういう不気味な噂はワクワクするね
ルカス
さぁ‥それじゃあ早速みんなに伝えて出発の準備を始めよう
ルカス
主様にもお声がけを頼めるかな?
ベリアン
かしこまりました


あなたの朱音side

そして私は唐突にパレスの玄関へ呼び出された

まあこっちでは家事もさせてもらえなくて暇だったのでちょうどいい

ベリアン
主様、どうぞこちらへ
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
うん、ありがとう
ベリアン
主様がいらっしゃいました
ベリアン
それでは「死神調査」の依頼を担当する執事を決めましょう
ベリアン
みなさん、揃っていますか?
フルーレ
今日はラトの調子が悪くて‥ミヤジ先生はラトに付き添っています
ベリアン
なるほど、彼は“例の日“が近いですものね
フルーレ
はい‥
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
(例の日、ですって?)
ベリアン
後数名揃っていませんが‥仕方ありません
ベリアン
このまま進めましょう
ベリアン
さて、今回の依頼は「死神の噂」の謎を解明するというものです
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
えっ、死神?
思わず反応してしまった

こう見えて読書も好きでホラーやミステリーには目がないのだ
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
あ、すみません、怪談好きで‥
ベリアン
いえ、お気になさらず
ラムリ
ヘェ〜なになにめっちゃ怖そう〜!
いや本当に怖がってる???
ムー
ラムリさん、全然怖がっているようには見えないです‥
ハウレス
しかし、死神なんて‥そんなもの聞いたことがない
ハウレス
本当にただの噂話では?
ルカス
噂話かどうかは、実際に確かめて見ないとわからないよ
ルカス
この世界は未知なことの方が多いから‥
ハウレス
それは‥
ルカス
それに、主人様も興味津々のようだしね
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
すみません本当、でもどうしても好奇心が‥
ベリアン
だから問題ないですよ
フェネス
ルカスさんも主様もなんだか楽しそうですね
ルカス
私は未知のものを探究するのが好きなんだ
ルカス
というわけで‥今回の依頼、私も是非参加させてもらうよ
ルカス
もしも天使が現れた時のために主様にもご同行いただきます
ルカス
ご安心ください、何が起きても私たち執事がお守りしますから
ムー
そ、それじゃあ僕も行きます!
ムー
何かあったときは、僕が主様をお守りします!
ルカス
よろしくね、ムーちゃん
ハウレス
俺も行きます
ルカス
おぁ!ハウレスくんがきてくれるなら安心だ
ルカス
これで、ムーちゃんも入れて四人か‥後二人くらい欲しいけど‥
ルカス
ナックくんとラムリくんは、どうだい?
ナック
申し訳ありません、ルカスさん
ナック
私は同行できません
ナック
財務関係の会議で、グロバナー家の本邸から呼び出されてまして‥
ルカス
そうか、それなら難しいね
ラムリ
ルカス様!ルカス様!ボク、行きまーす!
ラムリ
安心して、ボクに背中を預けちゃってください!
ルカス
それは頼もしいね
ルカス
では、ラムリくんは私と一緒に‥
ナック
残念ながら‥あなたはいけませんよ、ラムリ
ラムリ
はぁ?なんでナックがそんなこと決めんの?
ナック
あなたは掃除係としての仕事をやらなければならないからです
ナック
一週間前から頼まれていた屋根裏の掃除‥あなた、まだ終わらせていないでしょう
ラムリ
あぁ!それなら昨日ちょうど終わらせたよ〜
本当に??
ナック
嘘ですね
ナック
今朝、屋根裏を確認した時は、まだ散らかったままでした
ラムリ
チッ‥真面目ナックめ‥
ナック
はぁ‥ラムリ
ナック
あなたは自分の欲求のためなら平気で嘘をつく‥
ナック
そんな嘘八百を並べていると‥
ナック
いつか他人から信用されなくなってしまいますよ?
ナック
一人ぼっちのラムリを見るのは大変心苦しいです
ラムリ
そのニヤけた顔‥あんたも嘘くさいんだけど
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
(また喧嘩始まったよ)
ナック
おや?そうですか?私は本心で言っているのですが‥
ハウレス
ラムリ、お前は屋根裏の掃除を優先しろ
ラムリ
えぇ〜
フェネス
それじゃあ、ハウレス
フェネス
依頼には俺がついていこうか?
ハウレス
いや‥フェネスには俺が留守の間、屋敷を任せたい
ハウレス
何かあったら残っている執事をお前がまとめてくれ
フェネス
それは責任重大だね
フェネス
わかったよ、ハウレス
フェネス
俺に任せて‥
ハウレス
それと‥俺の留守中にラムリがサボらないか見ていてくれ
フェネス
ラムリ‥一緒にお掃除頑張ろうね
ラムリ
チェ〜
ハウレス
さて、後二人だったよな‥
ハウレス
ロノ!バスティン!お前達も一緒に来るんだ
ロノ
オレ?別にいいけど‥
ハウレス
バスティンもいいな?
バスティン
別に構わない
ロノ
ハァ〜バスティンが足引っ張んないといいけど‥
バスティン
‥‥‥
ロノ
って、無視すんなよ!
フェネス
ハウレス‥この二人を一緒に行かせて大丈夫?
ハウレス
大丈夫だ‥
ハウレス
これを機に二人が協力できるようにしてみせる
フェネス
そういうことか
フェネス
上手くいくように祈ってるよ
ルカス
それじゃあ、決まりだね
ベリアン
では、今回の「死神調査」は‥
ベリアン
ルカスさん、バスティンくん、ロノくん、ハウレスくん、ムーちゃん‥そして主様の6人で行っていただきます
ムー
僕、頑張りますよ!主様も一緒に頑張りましょう!
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
まあ足を引っ張らないよう努力するね
ベリアン
主様、今回の依頼は謎もお多いため危険が伴うかもしれません
ベリアン
しかし、この5人の執事達が必ず主様の身をお守り致しますので、どうかご安心ください
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
うん、ありがとう
ルカス
それじゃあ、私たちは旅の準備をしよう
ルカス
出発は朝だから、みんなそのつもりで‥
フルーレ
あ、あの‥
ルカス
どうしたんだい?フルーレくん?
フルーレ
俺も‥一緒に行っていいですか?
ルカス
珍しいね、こう言った外での依頼にフルーレくんが立候補するのは‥
フルーレ
あまり頼りにはならないかもしれませんが、どうしても行きたいです
フルーレ
もちろん、主様が良ければですが
ベリアン
いかがしましょうか?主様
(なまえ:朱音)
あなたの朱音
もちろん構わないわよ
フルーレ
感謝します、主様
そもそもダメだという理由がないのよね
ルカス
それじゃあ、出発は明日の朝‥
ルカス
執事達はみんな各々の準備をしておくようにね
作者
作者
❤️×5とコメント二つでネクスト
作者
作者
死神への好奇心に勝てないあなたの朱音ちゃんでした…w

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