あらかじめ買っておいた入乗車券を係員さんに渡して中に入る。
そう人がたくっさんいる。まぁ、遊園地だしね。家族連れに子供達、友達と来ている同い年の子達。そして何より多いのが……
そう。やっぱりカップルの数。楽しそうにイチャイチャしながら歩いている。別に羨ましくない。だって……
……この2人がいるんだから。
まずは何をするか、ということになったので時計を見てみれば、10時30分。まだお昼には時間があるということで、アトラクションに乗ろうということになった。
でかいジェットコースターの列に並ぶ。実は私……ジェットコースターは大好きなんだ!だから楽しみで仕方ないの!
楽しそうにしてる私が珍しいのか、顔を覗き込みながら言う2人。そんな2人に笑顔で、
と言えば、顔を赤くして素っ気なく
なんて言われる。いつもの元気じゃない2人に、首を傾げた時、自分達の番になる。
と、2人の手を引っ張り、案内された場所に座る。手を引っ張った時、2人は赤い顔で焦っていたけど、座って発車を待っている時には赤みがひいて、楽しそうに待っていた。ガタン、と動き始めれば、おぉ!という感嘆の声が上がる。
私のテンションも上がる。どんどん上に上がっていき……落ちるという所でもう私のボルテージはMAX。そしてジェットコースターが落ちれば……
私とはじめとシルクの声以外にも絶叫する声が聞こえた。
ジェットコースターが終わった頃。
と、楽しそうに笑う私とは反対にはじめとシルクは、ぐたっとした様子で、
なんて言っている。
2人に呆れながら言えば、いつも通りになる。よしっと思って、先に歩き出し
2人に聞いたその時。いつかのあの時みたいに2人の手が私の腕を掴む。驚いて2人に目を向ければ、真剣な表情で
なんて言われるけど、今日この状態でどうやって行くの?と思っていれば、私の考えが伝わったのか、伝わっていないのか、
と、掴んだ腕はそのままに真剣な顔で言う2人。
そんな2人に戸惑いながら口を開く。でも、もしもこれで色々あったら……と考えていたのがまた分かったのか、
ニコッと笑うはじめに、ニカッと笑うシルク。……この2人の笑顔に私はめっぽう弱いようだ。
私は心の中でどちらかを決めて、その名を呼ぶために口を開く。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!