カバンを手に強く握りながら、必死に駆け抜ける
_あれ、今日って一限目から小テストだったよね…?
絶対に遅刻は出来ない。なんとしてでも間に合わないと…!
でも、でもっ___!!
肩で息をしながら足を止める
止まったらダメだってわかってるけど…体力がない私にはこれ以上走るのは限界だった
体が重い…息が苦しい……!
膝から手を離し、再び小走りに切りかえて足を進める
あそこまで走れば間に合う、あとちょっと__!
そして角を曲がった瞬間、見覚えのある人物が目の前に現れた
放浪者くんがふとこちらを見て、視線を送る
その瞬間、目が合って一瞬だけ時が止まった気がした
視線が離れた後、慌てて反論するが放浪者くんは軽く鼻で笑った
そう言って、放浪者くんはすごい勢いで走り出す
嘘、あれでまだスピード出るの…?!
思わず放浪者くんの背中を見送るが、あまりの速さに驚いて足が止まりかける
目の前で放浪者くんがさらっと走り去って行くのを見ながら、私は必死で足を動かす
でも、足が重い__呼吸も荒くて、もう限界…!
そんな私を見かねてか、放浪者くんがふと立ち止まり少し戻ってきた
放浪者くんがあっさりと言うと、私の手を引いてくる
てかさっき普通に置いていく素振り見せてたじゃん?!
驚く暇もなく、すぐに引っ張られあっという間に歩調が合わせられる
肩を並べて走りながら放浪者くんは冷静な顔でそう言うけど、その手の温もりを感じて心臓がバクバクする
軽くため息をつきながらも、彼のペースに合わせて走る
しばらく走った後、ようやく校門が見えてきた
放浪者くんが軽く肩をすくめて言ったけど、私は息を切らしながらも安堵のため息をついた
無愛想に返事をしながらも、少しだけ嬉しそうな表情を見せる放浪者くん
その一瞬だけ、彼の優しさがちょっとだけ見えた気がした
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!