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第1話

海の音のする町
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2025/05/06 10:00 更新
潮の香りのする涼やかな風が吹いてきた。
ここは「潮風町しかぜまち」、港町だ。





日本の四季は消えてしまったのかと思われるほどに暑い日が続いている。
今年で中学三年生になった僕は、受験生として勉強に勤しんでいなければならないが、僕は今海に来ている。
今日は進路相談があって、先生に「行きたい高校を考え直してみたらどうだ?」なんて言われてモヤモヤしたから、気分転換だ。







母親と別れて足を向けた先がこの海。
太陽に光が反射して、海が宝石のようだった。僕はこの景色が好きだ。一日として同じ景色がないのが自然の良い所だと思う。
あなた
気持ちいい…。
吹き付けてくる潮の香りを深く吸い込んで、肺を満たしていく。
胸のしこりが解れていくようだ。
ここには他に誰もいないから、気が楽だった。
何度となく此処で考え事をしたり、時間を潰してきた。
今回の考え事は長期にわたって僕の中に残るだろうから、此処には今年中でも結構な回数お世話になるだろうな。
あなた
高校ねぇ…。
学力はちゃんとある。だからそこそこ上のところに行けるんだけど、映像関係に行きたいと思ってて、そういう部活とか取り組みに力が入っている所に行きたくて。
今迷っているのは狩沢高校かりさわこうこう映写高校えいしゃこうこうのどちらか。

狩沢は映像部が強い。全国大会に進出するぐらいは有名な所。
映写高校は名前の通り、専門学校の様に授業に力を入れていて写真部とのコラボレーションを生み出すことを重視するところで、今のところは狩沢にしようかと思っている。
あなた
写真もいいけど、やっぱり映像の方を重視したいしな

昔から映画とか、アニメも実写も好きだった。
動いている、臨場感がたまらなく好きだった。躍動感も、撮る角度で表現の仕方がある事もまたいい。
これを自分の力でやってみたいと考えた。スマホを買ってもらう時、動画がたくさん撮れるように容量の大きなものをお願いして買ってもらった。
自分で編集もしたいから、父親の使わなくなったPCも貰ったりして。環境を整えて本気で取り組もうと思っている。
でもその覚悟は親ぐらいしかまだ知らない。だから先生に、
先生
きっと、此処じゃなくてももっと良い所があるんじゃないか?

そんなことを言われていい気分になるわけがなかった。
僕の事を考えているのは十二分に伝わったんだけど、こちら側の考えを聞かずに自分の意見を言うだけ言って満足しないでほしい。
あなた
僕の事は僕自身で決めるんだ。
























僕の中にはちゃんとした考えがあるんだ。
誰かに曲げられていいものじゃない。
作者
皆さん、はじめましての方は初めまして。
それ以外の方は、また会えましたね。
この小説を、読み始めて下さりどうも有難うございます!
今回の作品は短めの作品になってしまうかもしれないのですが、
何卒、お付き合いのほどよろしくお願いします。

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