先輩の声で、ハッとした。当たりを見渡すと周りは真っ黒な人、廃だらけだった。
今まで観客だと思っていた人は廃だったのだ。僕は全く周りが見えていなかった。それと同時に自分はまだまだ未熟なことに気がついた。
正直それなりに異形と戦ったし、七不思議も倒した。だからちょっとは成長出来てると思っていたが、こんなに視野が狭かったなんて…少しショックだった。
僕の声を真似ているのだろうけど…あんまり似てない。
自分がどのような状況に置かれているのか理解した。
そして、それと同時に先輩が大きな声を出しながら僕の腕を引っ張った。
突然のことに頭が追いつかず、強い力で引っ張られたので訳が分からないまま、気がつけば先輩の後ろにいた。
やっと自分でバランスが取れるようになり、先輩の手が僕の腕から離れたので後ろを振り返ると、そこには廃がいた。が、一瞬で目の前から消えた。
先輩が一振で廃を倒してくれたのだ。
安全確認をし合っていると、少し離れたところから声が聞こえて、その方向を見ると瑠美さんがこちらに向かって歩いてきた。
瑠美さんは異形によって僕らの幻覚を見せられていたと言うことだろう。
だから僕らの事を疑った。
瑠美さんはじっとこちらを見て言葉を発した。
信じて貰えたようで良かったと安心したのも束の間。
見た目は全く変わっていないが、中身が先輩では無くなってしまっているらしい。
でも、僕が見た限り僕が襲われる前までは中身も先輩だったはずだ。
つまり、乗っ取られたのはついさっきだという事だ。と瑠美さんに伝えた。
つまり、異形は先輩の中で、先輩を倒さないと異形を倒せない。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!