世羅との一件が終わり、凪央にいろいろ聞かれたが、いきなり〝異形が見える〟なんて言っても分かるわけもないので適当に僕が少し無茶したところを見られたとそれっぽい事を言っておいた。
別に嘘は言ってない、嘘は。
けれど、そこそこ付き合いが長いのでそれが本当ではないということには気づいていたのかもしれない。しばらく言い合った後、凪央は諦めたのか、「ちょっとジュース買ってくる」と言って教室を出て行った。
***
色々あった(主に世羅や凪央との話し合いの)日からちょうど1週間が経った頃。
忙しくてすっかり忘れていたが、来月には文化祭が控えていたのだ。
教室はその話題で持ちきりだった。
あちこちでどんな事をやるのか明るい賑やかな話題が飛び交っている。
そんな事言われても。
てかもうちょっと頑張れよ。いろいろって言われても分からないよ。
という言葉をぐっと飲み込み、会話を続ける。
世羅は凪央の頭をくしゃくしゃと撫でた。
何だこいつらと、思いつつも僕も凪央の言葉に少しときめいたのは黙っておこう。
そんな感じでくだらない事をしていると先生が教室に入ってきた。
それを聞いた生徒たちは不満そうにしながらしぶしぶ席に戻っていった。
その瞬間、教室内がわっと盛り上がった。
僕はそれほど興味がないので手を挙げて発言しなかったが、凪央は僕らの中で一番楽しみにしていたのでもちろん手を挙げていた。
みんなのアイデアは止まらず、よく出てくるなと感心しながら聞いていた。
しかし、まとめないといけないので先生は頭を抱えていた。
かなり白熱していたので、チャイムが鳴るギリギリまで文化祭の出し物についての話し合いをしていた。
そんなこんなで決まったのはお化け屋敷だ。
急に背後から声がして思わず声を出してしまった。幸い、クラスは文化祭のことでものすごく盛り上がっていたので誰も僕の声には気を止めなかった。
いきなり意味のわからないことを言い出した琴音に困惑して聞き返すことしか出来ない。
なんか勢いで押された気がするけど、そうだよね。いくら楽しいことだとはいえ、本業(異形退治)を疎かにするのは良くない。
僕はしっかりと気合を入れた。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!