コーヒーを飲みながら外を眺めると
ぽつぽつと雨が降っていた
「あなたヌナ、おはよう」
ぼーっとしていると後から目を覚ましたソクミナが
眠たそうに目を擦りながら起きてきた
「おはようソクミナ」
ソクミナを見ていたら
ぽすっと私の隣に座る
「起きたらヌナが居ないんだもん、びっくりした」
「ふふっごめんねコーヒーが飲みたくて」
カップを机の上に置くと
手を引かれる
目の前には彼の首筋
思わず唇を寄せてしまった
「ヌナ?」
「あ、ごめん思わず」
恥ずかしくなって傍から離れようとすると
背中に回っている腕に力が入る
すると
私の耳元に近付き
彼は優しく耳を唇で挟み込んだ
「ねぇあなたヌナ、足りない」
君が甘い声で呟くから
外の雨音がいつの間にか聞こえなくなっていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。