今日もまた、じみなの声で私は教室を出る。明日から夏休み。
教室の中の、「夏休みも絶対会おうね」なんて言い合ってぐだぐだしてるめんどくさそうな雰囲気からやっと抜け出した。
友情なんてたった一本の糸ぐらいの関係でしかないのに必死になって居場所を探してそこに群がる。
運良く群れることができた人達は、1人でいる私をぼっちだと言って勝手に“いつも1人で可哀想な子”というレッテルを貼る。
友達ごっこをするぐらいなら私は1人を選ぶ。
ゆっくり準備をしていればドアの向こうから遅いって睨まれる。
今は1人じゃない。この人が隣にいるから。
お互いの両親に背丈が同じくらいで性別は違えど、どことなく似てると言われた。
見た目も、雰囲気も。
そしてこの関係はお互いの性格が違うから成り立っている。
楽しいことは2人でして、悲しいときは半分にする。
よくお腹を壊す私が「お腹痛い」って言ったら「また?」って少し呆れながらも心配してくれる。
お泊まりで同じベットで寝転びながら明け方まで話したり、一緒に遊びに行ってアイスとか半分こしたり。
異性だけど何故か変な方向には発展してこなかった。不思議だね。
それだけお互いを信用していた。
それ以上の事は、付き合った人とって決めてたから。
間違っても、親友や幼馴染としてお互いを認識するべきだから。
soul mate
ソウルメイト
そうるめいと
この表現の方が合ってるかな。
ソウルメイトであり、私の彼氏。
軽く話しながら私達が向かっているのは一体どこだろう。適当に歩いているからよく分かんないよ。
海に2人で制服のまま入る?
死体ごっこみたいでいいね。
久々に死体ごっこなんか思い出したよ。
幸せすぎてそんな事考えれなかった。
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自殺の仕方に興味あるし
何故かいろんな薬知ってるし
死体ごっこやるとか言うし
意外とそれが本格的なやり方だし
ふらって線路の方へ行くし
真冬の海に触れて気持ちいいとか言うし
血の色好きとか言い出すあなた。
生と死の狭間で全力で今を感じてる。
あなたが今見えている景色を一度見てみたい。
そしたらさ、僕も一緒になって考えてあげられるのに。
あ、でも自殺なんてさせないよ?
生きていようが、死んでいようが僕はあなたを離す気は全くないから。
ほらー、あれ、なんだっけ。
僕らはオレンジジュースだから。
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せっかく海の方に向かってたのに真逆の方向に引っ張られた。
なんだ、見透かされてるじゃん。
あ、あとりーちゃん。大事大事。
私とじみなは
オレンジジュースみたいに周りから見ればただの友達。
でもずーっと見てたら砂糖水みたいに甘ったるくてぐちゃぐちゃに混ざり合ってる。
それと少しのりーちゃん。
砂糖80%に果汁20%。
これで私はできてるんだよ。
何回も息苦しいこの世界から消えようと思ったのに、じみなには勝てない。
離してくれない。
一度混ざったら離れられない。
ほら、今も手繋いでるじゃん。
そういう運命で、これは偶然か必然か。
でももうなんでもいいや。
この笑顔で糸目で可愛いけどしっかりしてるじみなが隣にいてくれれば。
__________ オレンジジュースって砂糖80%と果汁20%で出来てるんだよ?
Fin.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!