前の話
一覧へ
次の話

第2話

二話
311
2026/07/28 01:49 更新
⚠ご本人様は関係ありません
物語の範囲内でお楽しみください!!!










どひゃーーーー前回の沢山の方に見ていただけてとっても嬉しいです🥹🥹
コメントもありがとうございます!!!






もうばんばん書くしかないですよね笑笑
それでは!よかったらフォロー、♡お願いします!




















*⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*





















jnt side























’’寝不足’’という俺の嘘を、勇斗は信じてくれた。







いや、信じたというよりは、俺がいつも通りにしているから、無理やり自分を納得させたんだろ














楽屋の空気が張り詰めたあの日から一週間、俺はポケットの中で小さく震え続ける右手を隠しながら、何事もない顔をしてステージに立ち続けていた。


























けど、現実はそんなに甘くはなかった。
















「はい、じゃあ後半のフォーメーション、もう一回頭からあわせまーす」






スタジオに響くスタッフの声と同時に、新曲のアップテンポな重低音がスピーカーから鳴り響く。





壁一面の大きな鏡に向かって、俺たちは一斉に激しいステップを踏み出した。











(頼むから…今だけは、ちゃんと動いてよっ…。)










頭の中では、完璧にダンスのカウントが刻まれている。
どこで誰と交差し、どのタイミングで腕を美しく伸ばせばいいのか、すべて身体が記憶しているはずだった。









なのに、右半身にまとわりつく、あのじわじわとした冷たいしびれが、日に日にその強さを増していく。













「あ……」

右足の先が、一瞬だけ床に引っかかるようにして遅れた。





ほんのコンマ数秒のズレ。だけど、隣でシンメトリーの動きをしていた勇斗の視線が、鏡越しに一瞬だけ鋭くこちらを向いたのが分かった。








心臓がドクンと嫌な音を立てて跳ね上がる。








焦るな…焦ったらバレる、と自分に言い聞かせるほど、筋肉がガチガチと硬直していく。


腕を真っ直ぐに突き出すフリのとき、俺の右手の指先は、誰の目から見ても明らかなほどカタカタと細かく震えていた。マイクを握る左手でそれを隠そうとするけれど、ステップを踏むたびに身体の軸が右側へとブレていく。










「っ……ごめん!俺のせいでちぃっと位置ずれた!もう一回いい…?」




曲が止まった瞬間、俺はあえて明るい声を上げ謝った。











だけどいつもなら、「なにやってんだよ仁人」と大声でイジってくるはずの勇斗が、何も言わずにじっと俺の右足を見つめている。











それだけじゃない。メンバーの柔太朗や大智たちも、どことなく心配そうな、でも触れてはいけないものを見るような、そんな曇った表情で俺を鏡越しに見つめていた。






















「よっしー、最近…ちょっと変だよ?」



















休憩に入った瞬間、ドリンクボトルを片手に持った柔太朗が、静かな声で俺に近づいてきた。










「ダンスのキレとかそういう問題じゃなくて……なんか、右足かばってない? まだ寝不足とか、疲れが取れてないだけ?」





「え……? ああ、そんなことないよ! ちょっと最近、家での筋トレのメニュー変えたから筋肉痛なだけだって。心配しすぎ!」









俺はいつものトーンでテンポよく笑い飛ばし、ボトルのキャップを開けようとした。
















――その時だった。

















カツン、と軽い音がして、ボトルのキャップが床に転がっていった。






右手の指先に全く力が入らず、キャップを掴むことすらできずに落としてしまったのだ。
慌てて拾おうとした俺の右手は、床に伸ばした状態でも、自分の意志とは関係なく小刻みに震え続けていた。










「仁人」







背後から、低く掠れた音がする。
瞬間、背筋が凍る。









振り返る間もなく、俺の右腕が強い力で上へと引っ張り上げられる。










そこにいたのは、さっきまで無言を貫いていた勇斗だった。




勇斗は俺の右手首を骨がきしむほどの強さで握りしめ、その震える指先を、逃がさないようにじっと見つめていた。




















「……これ、何?」







「何って…だから、筋肉痛で力が入らないだけで――」





「嘘つくな!!」










スタジオの壁を震わせるほどの勇斗の大声が響き渡り、他のメンバーやスタッフたちの動きが一瞬で凍りついた。











見たこともないくらいに怒りで顔を歪ませ、でも、瞳の奥を今にも涙が溢れそうなくらいに潤ませている勇斗。








あいつの手のひらから伝わってくる圧倒的な体温が、俺が必死に保っていた強がりの仮面を、容赦なくひび割っていく。















「ただの寝不足…???筋肉痛がこんなに手が震えるわけねえだろ…!仁人、お前、俺、俺らになにか隠してんだろ。本当のことを言えよ!」




「勇斗……離して……痛いよ、」





俺は必死に左手で勇斗の腕を振り払おうとしたけれど、あいつの力はビクともしなかった。







大好きな勇斗に、












こんな壊れていく情けない姿を見られたくなかった。










嫌われたくなかった。










可哀想だなんて思われたくなかった。












だから俺は、ポケットの奥にずっと隠し持っていた、あの白い封筒を床に叩きつけるようにして叫んだ。









「……これだよっ、!これ見れば満足?!病院の、結果だよ……っ、」









床に落ちた封筒から、一枚の診断書が滑り出る。














そこに並んだ『若年性パーキンソン病』という冷酷な文字の列を、勇斗が、そして駆け寄ってきたメンバーたちが、息を呑んで見つめる静寂がスタジオを支配した。


























大好きなみんなの隣にいる資格が、自分のせいで消えていくような絶望感のなか、俺の右手は、今も無情に震え続けていた。













fin.

プリ小説オーディオドラマ