⚠ご本人様は関係ありません
物語の範囲内でお楽しみください!!!
どひゃーーーー前回の沢山の方に見ていただけてとっても嬉しいです🥹🥹
コメントもありがとうございます!!!
もうばんばん書くしかないですよね笑笑
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jnt side
’’寝不足’’という俺の嘘を、勇斗は信じてくれた。
いや、信じたというよりは、俺がいつも通りにしているから、無理やり自分を納得させたんだろ
楽屋の空気が張り詰めたあの日から一週間、俺はポケットの中で小さく震え続ける右手を隠しながら、何事もない顔をしてステージに立ち続けていた。
けど、現実はそんなに甘くはなかった。
「はい、じゃあ後半のフォーメーション、もう一回頭からあわせまーす」
スタジオに響くスタッフの声と同時に、新曲のアップテンポな重低音がスピーカーから鳴り響く。
壁一面の大きな鏡に向かって、俺たちは一斉に激しいステップを踏み出した。
(頼むから…今だけは、ちゃんと動いてよっ…。)
頭の中では、完璧にダンスのカウントが刻まれている。
どこで誰と交差し、どのタイミングで腕を美しく伸ばせばいいのか、すべて身体が記憶しているはずだった。
なのに、右半身にまとわりつく、あのじわじわとした冷たいしびれが、日に日にその強さを増していく。
「あ……」
右足の先が、一瞬だけ床に引っかかるようにして遅れた。
ほんのコンマ数秒のズレ。だけど、隣でシンメトリーの動きをしていた勇斗の視線が、鏡越しに一瞬だけ鋭くこちらを向いたのが分かった。
心臓がドクンと嫌な音を立てて跳ね上がる。
焦るな…焦ったらバレる、と自分に言い聞かせるほど、筋肉がガチガチと硬直していく。
腕を真っ直ぐに突き出すフリのとき、俺の右手の指先は、誰の目から見ても明らかなほどカタカタと細かく震えていた。マイクを握る左手でそれを隠そうとするけれど、ステップを踏むたびに身体の軸が右側へとブレていく。
「っ……ごめん!俺のせいでちぃっと位置ずれた!もう一回いい…?」
曲が止まった瞬間、俺はあえて明るい声を上げ謝った。
だけどいつもなら、「なにやってんだよ仁人」と大声でイジってくるはずの勇斗が、何も言わずにじっと俺の右足を見つめている。
それだけじゃない。メンバーの柔太朗や大智たちも、どことなく心配そうな、でも触れてはいけないものを見るような、そんな曇った表情で俺を鏡越しに見つめていた。
「よっしー、最近…ちょっと変だよ?」
休憩に入った瞬間、ドリンクボトルを片手に持った柔太朗が、静かな声で俺に近づいてきた。
「ダンスのキレとかそういう問題じゃなくて……なんか、右足かばってない? まだ寝不足とか、疲れが取れてないだけ?」
「え……? ああ、そんなことないよ! ちょっと最近、家での筋トレのメニュー変えたから筋肉痛なだけだって。心配しすぎ!」
俺はいつものトーンでテンポよく笑い飛ばし、ボトルのキャップを開けようとした。
――その時だった。
カツン、と軽い音がして、ボトルのキャップが床に転がっていった。
右手の指先に全く力が入らず、キャップを掴むことすらできずに落としてしまったのだ。
慌てて拾おうとした俺の右手は、床に伸ばした状態でも、自分の意志とは関係なく小刻みに震え続けていた。
「仁人」
背後から、低く掠れた音がする。
瞬間、背筋が凍る。
振り返る間もなく、俺の右腕が強い力で上へと引っ張り上げられる。
そこにいたのは、さっきまで無言を貫いていた勇斗だった。
勇斗は俺の右手首を骨がきしむほどの強さで握りしめ、その震える指先を、逃がさないようにじっと見つめていた。
「……これ、何?」
「何って…だから、筋肉痛で力が入らないだけで――」
「嘘つくな!!」
スタジオの壁を震わせるほどの勇斗の大声が響き渡り、他のメンバーやスタッフたちの動きが一瞬で凍りついた。
見たこともないくらいに怒りで顔を歪ませ、でも、瞳の奥を今にも涙が溢れそうなくらいに潤ませている勇斗。
あいつの手のひらから伝わってくる圧倒的な体温が、俺が必死に保っていた強がりの仮面を、容赦なくひび割っていく。
「ただの寝不足…???筋肉痛がこんなに手が震えるわけねえだろ…!仁人、お前、俺、俺らになにか隠してんだろ。本当のことを言えよ!」
「勇斗……離して……痛いよ、」
俺は必死に左手で勇斗の腕を振り払おうとしたけれど、あいつの力はビクともしなかった。
大好きな勇斗に、
こんな壊れていく情けない姿を見られたくなかった。
嫌われたくなかった。
可哀想だなんて思われたくなかった。
だから俺は、ポケットの奥にずっと隠し持っていた、あの白い封筒を床に叩きつけるようにして叫んだ。
「……これだよっ、!これ見れば満足?!病院の、結果だよ……っ、」
床に落ちた封筒から、一枚の診断書が滑り出る。
そこに並んだ『若年性パーキンソン病』という冷酷な文字の列を、勇斗が、そして駆け寄ってきたメンバーたちが、息を呑んで見つめる静寂がスタジオを支配した。
大好きなみんなの隣にいる資格が、自分のせいで消えていくような絶望感のなか、俺の右手は、今も無情に震え続けていた。
fin.












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。