だいぶ遅くなりましたが、皆様あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
暗幕が垂れ、ほぼ真っ暗な軽音部部室に響く声が4つ。
人生ゲームをしている私、ひなたくん、ゆうたくん。
そして、先程双子が攫ってきたあんず。
私がどうしてここにいるのかはまぁとりあえず置いといて。
現在、4人でわいわい楽しく人生ゲーム中である。
日本の半分ぐらいの人は知っているであろう、人生ゲーム。
私はこの手のゲームに全く運がなく、それを証明するかのように先程のターンで見事借金200万を追加で背負わされた。
もともと借金が800万あったため、ついにトータルで1000万を超えてしまった。
ゲームは終盤。どうしたものか。
腹を抱えて笑い転げるひなたくんと、信じられないものを見るような目をするゆうたくんとあんず。
ここまで反応されると、今すぐ誰かにゲームボードをひっくり返して欲しくなってくる。
誰か、借金肩代わりしてください。
……なんて、私の切実(?)な願いが届いたのだろうか。
直後、ダダダダダ、と誰かが勢いよく廊下を駆ける音が聞こえた。
かと思えば、次の瞬間。バァン!!!と部室の扉が思いっきり開けられた。
その衝撃で、ガッシャーン!!と思いっきりボードがひっくり返る。
とりあえず、スバッティとスバッティを追いかけるようにして駆けてきたホッケ〜&まこってゃんを手招いて、その辺にあっただいぶ奇抜なクッションに座らせる。
頭にはてなをたくさん浮かべるスバッティ、ホッケ〜、まこってゃん。
申し訳ないけれど、3人が来た以上、私はやらなくちゃいけないことが出来たので、とりあえずあんずに説明を頼む。
びしっ!と敬礼して3人に向き直ったあんずを横目に、私はぐるりと室内を見渡した。
そして、あるところで視線を止めた。
寝起きの零くんの機嫌が悪くありませんように、と祈りつつ、真っ暗な部室の中で異様な雰囲気を放つ棺桶に向かって、足を進めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。