…なんて、抱き締められながら、周囲を見ずに油断して
呑気にお喋りしていると……
食料やらが入っているであろう袋を手に持った
敬人が、意外と早くにESビルへ戻って来た。
と、敬人がため息を吐いて、
持っていた袋を私の前に差し出した
差し出された袋を受け取り、『ありがとう』と
礼を言えば敬人は何処か恥ずかしそうに、
顔を逸らし『あぁ』とだけ呟いた。
敬人が居るのにも関わらず甘える子供のようにぎゅっ、
と抱きしめる力を強める薫。
なんて言いつつ、私は薫の頭を撫でる。
薫の頭を撫でていた手を離しては、離れた珍しさに
驚いて目を丸くする私。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!