ワイワイ……
ガヤガヤ……
【男子IH 大会3日目。決勝トーナメント3、4回戦】
「「「「「ふっくろーだに!!」」」」」
ガガン、ガン、ガンガンッ!!
「「「「「ふっくろーだに!」」」」」
ガガン、ガン、ガンガンッ!!
キュキュッ、
「ブロック3枚!」
バシン!
「「「「「ワァアァァーーー!!」」」」」
木兎「俺って最強ー!ヘイヘイヘェーーーイ!!」
昨日もだけど
今日、この試合も。木兎くんの調子が良い
この前の合同合宿中に木兎くんが自分で言ってたけど
実際合宿中の試合でも、この大会でも。木兎くんはクロス打ちが得意……というか、好き。なんだと思う
だから相手チームのブロックはクロス方向を締めてきてる
でも、そんなのお構いなしに……
あなた「木兎くん調子良いね!特に今の超インナースパイク。アタックラインの前に落ちたよ!」
雀田「そりゃあだってさ、あなたちゃんが応援してくれてるからね〜」
あなた「!、〜っ、/////」
梟谷の応援席で。隣に座るかおりちゃんからジト目を向けられてしまった
え〜っと…、それって、つまりは……そういう事?/////
「ね、今日もまたあの人来てる」
「あの人?」
「ほら、一ノ瀬さんが言ってた音駒の………」
「あ〜…、赤葦くんに……」
「あの人、頭悪いんじゃない?それか神経図太過ぎ。アハハハ……」
背後からは、応援とは違う
ヒソヒソと。だけど敢えて私に聞こえるくらいの声で嫌味を言う声や噂話をする声が聞こえてくる
だけど……
フンッ!だ
知らないもん。聞こえないもん
頭悪い子でいいもんっ!神経極太ですが、何か!?
無神経とか、KYって言われても気にしないもんっ!
京治くんと私のことで周りの人に何をどう言われようが、もういちいち気にしない!動揺もしない!
今日から私は"鋼のメンタル"になってやる!!
バシン!
「「「「「ワァアァァーーー!!」」」」」
おっ!
今ので梟谷が先に20点台に乗った
点差は6点。今は3セット目だから……
恐らくこの試合、梟谷が獲る
何かアクシデントが起きてチームのリズムが崩れない限り、梟谷が勝てる流れだ
いつも元気な木兎くんについ目がいっちゃうけど、京治くんも他の選手も
梟谷は皆落ち着いて安定していて。チーム全体の雰囲気も良い
特に木葉くん。合宿中の試合もだったけど……
派手な木兎くんとは正反対で地味なんだけど。フォロー上手だし、大事なところでちゃんと決めるんだよな〜
あ、…………そういえば、いつだったっけ?
前に京治くんが言ってた『器用貧乏』って、確か……
過去の京治くんとの会話を思い出しながら、手元のパンフレットに視線を落として
勝ち残っているチームに赤い線が引かれたトーナメント表を見つめる
今日、現時点で残っているチームがベスト16
そして今日2試合勝てば、ベスト4だ
梟谷は無事に勝ち残っている。牛島くん率いる白鳥沢も。信介くん率いる稲荷崎も________________、
コーチと私がpick upしたチームは全校、今日まで勝ち残っている
・
ピピーーーーーッ!
「「「「「ぁりがとうございましたぁー!!」」」」」
キュキュッ、
トーナメント表を赤いマジックでなぞる
よしっ、
その後も危なげなく試合は終わって。梟谷は無事に8強入りを果たした
パチパチパチパチ……
木兎「あなたーーー!!」
あなた「!、」
応援団に挨拶をする為に整列した選手の中から、すかさず木兎くんが「勝ったぞーーー!」と言わんばかりに両手を突き上げる
あなた「皆、おめでとう〜!__________________、〜っ、!!/////」
整列する選手の中で一番目立つ元気印は、木兎くんなんだけど
木兎くんの隣に立つ京治くんと視線がぶつかった瞬間、自分でもビックリするくらい心臓が大きく跳ねてしまって……
……なんか、昨日の事を思い出しちゃって
〜っ、////////
雀田「あなたちゃん、どうかしたの?……顔、真っ赤だよ」
咄嗟に視線を外したことが挙動不審な態度になってしまった
かおりちゃんに顔を覗き込まれる
更にかおりちゃんは、私の不審な態度の原因を突き止めるかのように私と選手達を交互に見やって
雀田「あれ……?あ〜!もしかしてあなたちゃん、木兎……じゃなくて、赤葦と何かあっt________________、」
あなた「な、な、ない!ないないない!!京治くんとは、別に何もないからっ!あ"〜っ!私、次の試合が」
雀田「あ?えっ?あなたちゃん!?」
あなた「皆に「おめでとう。次の試合も頑張って」って伝えてね。……じゃ、じゃあねっ」
スマホとか、メモ用のノートとか……自分の荷物を慌ててバッグに詰め込んで
そそくさと、その場から立ち去った
あなた「はぁぁ〜……、」
暫くして足を止める。無意識のうちに止まっていた息を大きく吐き出した
『今日から鋼のメンタル』は、…………やっぱ無理そう!/////
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!