第34話

episode 32
792
2025/10/03 11:33 更新
うぐっ…!
あなた
え。


大の大人が


床に無様に倒れる姿を


7年生きてきて初めて見た。




今までもこの先も

もう一生見ることは無いだろう。
あ゛っぐ…がっ



脳震盪を起こした父は



起き上がれないまま意識を手放した。
…こんなもの、
今まで貴方たちがしてきたことに比べれば
軽いものですけどね。
あなた
(……っ)



今までになく怒っている様子のL。



呆然と立ち尽くしている母をギロッと睨む。
あ、いや、いやっ、
こ、こないで!!


父がやられたことによって


驚きと恐怖で腰を抜かした母。





そのまま後退りで逃げようと試みるも

恐怖で体が動かない様子だった。
…貴方達には法の下で裁きを受けてもらいます。
児童虐待、誘拐、殺人未遂。
もう外には出てこられませんね。
い、嫌っ、!




ウーーーーーーーー



サイレンの音が外に響く。
…警察が到着したようです。
身柄を引渡します。
この状況下での弁明は不可能なので
大人しく捕まって下さい。
………くっ、そ



観念した様子で俯く母親。




今度こそ、私は


彼らから解放されたみたい。


























その後は早かった。






警察が突入してきたかと思うと






すぐさま私の両親の腕に手錠を掛け







そのままパトカーに乗せて連れて行ってしまった。







ワイミーさんが手続き等をしてくれたらしい。







今も外で警察と話している。









私もさっき警察の方に少しだけ話を聞かれた。


私の証言をもとに罪状を決めるらしい。



話によると、情状酌量の余地は与えられないため

執行猶予無しの判断が下されるようだ。











大丈夫ですか?
あなた
……あ、L。


Lの頬を見る。


私の父に殴られた傷が痛々しい。




少し腫れたLの頬に

そっと手を乗せる。
あなた
ご、ごめん、ごめ、ん。
私のせいで殴られちゃった、ごめんなさい
あなた
い、いたかった?痛かったよね、ごめん
ごめんっ、










……………
貴方は本当に優しいですね。


Lはそう言うと


頬に乗せた私の手をぎゅっと握って



愛おしそうなものを見るかのような目で私を見つめた。
こんなもの、痛くありません。
貴方を失ってしまうかもしれないという恐怖に比べたら大したものではありません。
それに、痛いのは私ではなく貴方です。
あなた
……うっ、うぅ、うん、ごめんん。


優しい言葉をかけられて


会いたかったあなたに会えて


両親のしがらみから解放されて


不安が安心に変わって








色んな感情がごちゃごちゃになって涙を流してしまう。
あなた
…う、うぅぅ、ごめんん、ごめん、
謝らないでください。
私こそ、遅くなってしまってすみません。
もう少しで手遅れになってしまう所だった。生きていてくれて良かったです。



涙がこぼれた頬を


Lが自身の指で拭ってくれた。
……そこら中に貴方の血が着いている。
首にも、手形があります。
両親にされたのでしょう?
あなた
……うん、でも、ずっとこうだったの。
慣れてるから、だいじょうぶ。


嘘だ。


殴られたこともあれば蹴られたこともある。


でも首を絞められて殺されかけたことなんてない。







死ぬかもしれないと思ったことは何度もあった。

でも今回ばかりはほんとに死んだと思った。




実際、殺すつもりだったっぽいし。
あなた
大丈夫。こんなのいつものことだよ。
あなた
それにもう、Lが助けてくれたから
大丈夫。


Lに心配をかけさせまいと



頑張って笑顔を作る。









そんなものLには無意味だってわかってるのに。
……あなたさん。
私は嘘が苦手です。
怖かったのでしょう?
今だって泣き叫びたいはずです。
あなた
……っ
我慢しなくていいんです。
今まで数え切れないほどの我慢をしてきたのですから。
あなた
……うっ、うん、うん。
ありがとう、ほんとにありがとう。



再び流れた涙を


Lは優しく拭き取ってくれる。
帰りましょう。あなたさん。
私たちの家へ。

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