大の大人が
床に無様に倒れる姿を
7年生きてきて初めて見た。
今までもこの先も
もう一生見ることは無いだろう。
脳震盪を起こした父は
起き上がれないまま意識を手放した。
今までになく怒っている様子のL。
呆然と立ち尽くしている母をギロッと睨む。
父がやられたことによって
驚きと恐怖で腰を抜かした母。
そのまま後退りで逃げようと試みるも
恐怖で体が動かない様子だった。
ウーーーーーーーー
サイレンの音が外に響く。
観念した様子で俯く母親。
今度こそ、私は
彼らから解放されたみたい。
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・
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その後は早かった。
警察が突入してきたかと思うと
すぐさま私の両親の腕に手錠を掛け
そのままパトカーに乗せて連れて行ってしまった。
ワイミーさんが手続き等をしてくれたらしい。
今も外で警察と話している。
私もさっき警察の方に少しだけ話を聞かれた。
私の証言をもとに罪状を決めるらしい。
話によると、情状酌量の余地は与えられないため
執行猶予無しの判断が下されるようだ。
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Lの頬を見る。
私の父に殴られた傷が痛々しい。
少し腫れたLの頬に
そっと手を乗せる。
Lはそう言うと
頬に乗せた私の手をぎゅっと握って
愛おしそうなものを見るかのような目で私を見つめた。
優しい言葉をかけられて
会いたかったあなたに会えて
両親の柵から解放されて
不安が安心に変わって
色んな感情がごちゃごちゃになって涙を流してしまう。
涙がこぼれた頬を
Lが自身の指で拭ってくれた。
嘘だ。
殴られたこともあれば蹴られたこともある。
でも首を絞められて殺されかけたことなんてない。
死ぬかもしれないと思ったことは何度もあった。
でも今回ばかりはほんとに死んだと思った。
実際、殺すつもりだったっぽいし。
Lに心配をかけさせまいと
頑張って笑顔を作る。
そんなものLには無意味だってわかってるのに。
再び流れた涙を
Lは優しく拭き取ってくれる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!