そう思って振り返った時.
そこに“ いた ”
スーツを身にまとった,真っ黒い髪の男がゆっくりと歩いてくる
体操服の入った鞄を受け取る.
なんで…??
やはり,少し気まずい.
それだけ言ってそそくさと来た道を戻って行った父.
なんで,届けてくれたんだろ.
数十分前
子供二人が居なくなった静かな家に,また彼女の煩い声が響く.
見慣れない手提げの袋を持ったしのぶに声をかける.
本当に間に合うかなんて分からないが,適当に言っておけばいいだろう.
「 良かった,これで静かになる 」
そう思ったのも束の間.
プルルルルル
断る間もなく,手提げバックを押し付けられた.
おい,そんなに長電話するつもりなのか.この女は.
しのぶは電話に夢中…というより,必死だ.
多分,また迷惑電話か間違い電話だろう.
小声で急かされる.
もう,行くしかないようだ.
余計な事はせずに.















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。