第4話

那田蜘蛛山
524
2025/04/26 08:00 更新
竈門炭治郎
竈門炭治郎
く・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ね、禰󠄀豆子・・・
 地を這いながら
 先の方で倒れてる、禰󠄀豆子の方へと向かう。
 そんな中で
 炭治郎の視界に、糸が見えた。
 その糸は炭治郎に向かうと共に拘束した。
 近くにボロボロの状態で
 梨花が炭治郎を見下ろして立っていた。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(悲しい・・・)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(憎しみの匂い)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
君は・・・
人を食わないんじゃないのか?
梨花
梨花
・・・・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
傷付けてごめん
竈門炭治郎
竈門炭治郎
でも
竈門炭治郎
竈門炭治郎
君の事は
俺がなんとかするから
梨花
梨花
人間に・・・
梨花
梨花
何が出来るっていうの
竈門炭治郎
竈門炭治郎
人を食べない鬼が
竈門炭治郎
竈門炭治郎
まだ居たんだ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺は
人を食べない鬼を
斬らない、って決めてある
竈門炭治郎
竈門炭治郎
だから君にも
刀を振るわない
梨花
梨花
・・・
梨花
梨花
だからって
邪魔してほしくなかった
梨花
梨花
累お兄様だけが
梨花
梨花
唯一
私の言葉を聞いてくれるから
梨花
梨花
大事にしてくれなかった私にとって
梨花
梨花
累お兄様も・・・
梨花
梨花
この山で出会って
決まった家族でも
梨花
梨花
私にとっては
大切な家族なの
梨花
梨花
大事な存在なの
梨花
梨花
貴方達人間は
そんな家族を
梨花
梨花
私から奪ったんだ
梨花
梨花
死んで当然なのに
梨花
梨花
しぶとく生きちゃって
 炭治郎を拘束している糸を
 きつく縛るようにする梨花。
 唸り声を上げる炭治郎だったが
 それは途中で止まった。
 強い糸が緩くなったと同時に
 梨花の体が大きく傾いた。
 その時に炭治郎の鼻に入り込む異臭と寒気。
 傾いて倒れそうになった梨花を
 糸のようなもので支えられた。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
なんで・・・?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
頸を斬ったのに・・・!!
 頸の無い状態の累が
 ゆっくりと炭治郎と梨花の方へと
 歩み寄ってくる。
 片方の腕には、何かを握っているようだ。
累
僕に勝ったと思ったの?
累
可哀想に
累
哀れな妄想して
累
幸せだった?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(はやく、呼吸を整えろ!)
 頸を繋いでいた糸を引き
 そのままくっつけた。
 そして糸で支えてる梨花を抱えると
 近くの木陰へと下ろしては
 炭治郎に向かって、歩み始めた。
 徐々に怒りへと表情を変えていく。
累
僕は自分の糸で
頸を斬ったんだよ
累
お前に頸を斬られるよりも先に
竈門炭治郎
竈門炭治郎
くっ・・・
 赤い糸が累の手から現れる。
 その時に感じる殺気。
累
もういい
累
お前も、妹も殺してやる
累
こんなに腹が立ったのは
久しぶりだよ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・っ

 苦しみながらも、炭治郎は
 前方で眠っている禰󠄀豆子の方へと
 地を這い続けた。
累
そもそもなんでお前は
燃えてないのかな?
累
僕と僕の糸と
累
そう・・・
累
梨花を燃やしたよね?
累
可哀想に
累
ろくに回復も難しいというのに
累
死んでないけど
累
赦さないからね?
累
梨花を傷付けた事
累
妹の力なのか
なんなのか知らないけど
累
苛々させてくれて
ありがとう
累
なんの未練も無く
累
お前達を刻めるよ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・・・・!!
累
『血鬼術』
累
「殺目籠」
 円状の赤い糸が
 炭治郎を包むように迫って来る。
 反撃をしようとしたが
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(腕が・・・)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(上がらない・・・)
 赤い糸は身動きが出来ていない
 炭治郎の手や頭に触れると少し刻んだ。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
うっ
 ビシャッ、と血が溢れる中
 何者かが炭治郎を刻む
 赤い糸を水で断ち斬った。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(誰か来た・・・)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(善逸か・・・?)
冨岡義勇
冨岡義勇
俺が来るまで
よく耐えた
冨岡義勇
冨岡義勇
後は任せろ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・・・・
累
次から次へと・・・
累
僕達の邪魔ばかりする
屑共め・・・っ
累
『鬼気術』・・・!!
累
「黒死輪転」!!
 赤い糸が渦のように
 広範囲へと広がりつつ
 男性と炭治郎の方へと向かった。
冨岡義勇
冨岡義勇
『水の呼吸』
冨岡義勇
冨岡義勇
『拾壱ノ型』
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・・・・
冨岡義勇
冨岡義勇
「凪」
竈門炭治郎
竈門炭治郎
拾壱ノ型?!
累
拾壱ノ型がなんだってんだ!
 赤い糸が男性の間合いに入った途端
 累の糸がバラけた。
 そんな時、梨花がゆっくりと瞼を開けた。
累
な・・・っ
梨花
梨花
累お兄・・・さま・・・?
累
(斬られた・・・?)
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・
累
そんなはずはない!
累
もう一度・・・!!
 瞬きをした累。
 すると梨花の叫び声が聴こえた。
 気が付けば、累の頸が体からズレ落ちていた。
累
・・・!!
梨花
梨花
っ!!
 冨岡はそのまま歩き
 木陰で座っている、梨花の方へと向かった。
 そして冨岡が目の前で止まると
 刀を振り上げた。
梨花
梨花
(嗚呼・・・)
梨花
梨花
(殺される)
梨花
梨花
(もう、累兄様にも
助けてはくれない)
梨花
梨花
(私も・・・)
梨花
梨花
(死ぬ・・・)
梨花
梨花
(悪くない)
梨花
梨花
(大好きな場所で)
梨花
梨花
(お兄様と共に死ねるのなら)
累
り・・・
 微笑んで目を閉じる梨花。
 その時・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
待って下さい!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
その子は殺さないでください!!
累
・・・・・・
 しかし冨岡の腕は止まらなかった。
 梨花へと刀を振り下ろそうとしたのだ。
 消滅し続ける累の代わりに
 炭治郎が刀をなんとか投げる事に成功。
 梨花を斬るのを阻止させた。
 冨岡は炭治郎の方へと
 顔を向けた。
 いや、睨んだ。
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・!
冨岡義勇
冨岡義勇
お前は・・・
 炭治郎の顔を見て
 そして禰󠄀豆子を見て
 過去を思い出した冨岡。
 そんな人間の背後を通り・・・

 梨花が累の手を握った。
梨花
梨花
累お兄様・・・
 口元も消滅して
 話せなかった累は
 なんとか手を動かす事は出来た。
 頸の無い状態・・・
 今回は完全に弱りきっている体で
 手に力を入れるように
 優しく握られた。
 しかしその力はやわかった。
梨花
梨花
・・・
 ポロポロと涙を流す梨花。
 やがて累は完全に塵となって消滅した。
 涙を押し殺すように泣く梨花を
 炭治郎は悲しんでいた。
 そしてグッと感情を堪え・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
こっちに・・・来れるか?
梨花
梨花
・・・
 禰󠄀豆子を庇っているようにしている
 炭治郎を見る梨花。
 炭治郎は、最後の力を振り絞って
 梨花に手を伸ばしていた。

 何かを感じとったのか・・・
 梨花は炭治郎へと近付いた。
 傍で座り込み、炭治郎の手に触れた。
 攻撃はしてこなかった。
 梨花はギュッと
 炭治郎の手を握ると
 おでこへと持っていった。
梨花
梨花
あたたかい
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミのお兄さんの・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
家族への絆は偽物だったけど
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミとお兄さんの絆だけは
本物だった
梨花
梨花
・・・・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミのお兄さんを殺して・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ごめん・・・
梨花
梨花
・・・
 「ごめんな」と
 切ないまま謝る炭治郎は
 梨花の手から離れると
 そのまま彼女の頭部へと添えた。
 優しい手に包まれる感覚の梨花は
 再び涙を流した。
 そんな時、走ってくるような音が
 三人にも聴こえた。
 炭治郎はその時に殺気を感じ
 梨花の頭部に手を添えたまま
 引き寄せた。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
危ない!!
 炭治郎がその行動をした後
 冨岡が現れ
 三人を護るようにして
 刀を振った。
 走って来た人物との刀が当たり
 その人物は空を舞って
 反対側へと着く。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あら?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
「鬼とは仲良くなれない」って
言ってたくせに
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
なんなんでしょう?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
そんなんだから
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
嫌われるんですよ?
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
!?
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・・・・俺は
冨岡義勇
冨岡義勇
俺は
嫌われていない
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・!?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あ・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あぁ、それ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
嫌われてる自覚が
無かったんですね
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
余計な事を言ってしまって
すみません
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あ、わ、わ
梨花
梨花
・・・?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
坊や
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あ、はい!!
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
坊やが構っているのは
鬼ですよ?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
それも挟まれているでは
ありませんか
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
危ないですから
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
離れてください
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ち、違います!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
いや、違わないけど・・・っ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あの・・・っ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
妹なんです!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そしてこっちの子は
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺の妹と同じで・・・!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
それで・・・!!
梨花
梨花
(・・・同じ?)
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
まあ・・・そうなのですか
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
可哀想に
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
では
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
“鬼二体”
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
苦しまないよう
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
優しい毒で
殺してあげましょうね
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・!!
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・動けるか?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
え?
冨岡義勇
冨岡義勇
動けなくても
根性で動け
冨岡義勇
冨岡義勇
妹とその鬼を連れて逃げろ
梨花
梨花
え・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡さん・・・
 炭治郎は起き上がると共に
 禰󠄀豆子を抱え、梨花に目で合図した。
 立ち上がる梨花。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
すみません!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ありがとうございます!!
 炭治郎は禰󠄀豆子を抱えたまま
 梨花に軽く体当たりのようなものをして
 先へと行かせた。
 梨花は炭治郎の言う事を訊き
 山の中を走る。
 炭治郎も走っては
 冨岡と胡蝶の前から姿を消した。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
これ・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
隊律違反なのでは?
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
いいんですか?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
もう一体の鬼は
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
姿的に
この山で暮らしていた鬼
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
おそらく
私達が倒した鬼の仲間でしょう
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
放っておいて
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
大丈夫なんでしょうか?
冨岡義勇
冨岡義勇
・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
聞こえてますか〜?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
冨岡さん
冨岡義勇
冨岡義勇
あの鬼も・・・
冨岡義勇
冨岡義勇
きっと人間は食わない
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
・・・・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
はい?
 山の中を走り続け
 途中で禰󠄀豆子が
 入っていた箱を背負って
 梨花と共に山を駆け抜ける。
 体中の痛みを我慢しながら
 梨花がついてこれているか、を
 確認するように
 見てきたりしている。
 その途中で、禰󠄀豆子が目を開けた。
梨花
梨花
(どうして)
梨花
梨花
(この人間も
 鬼狩りなはずなのに)
梨花
梨花
(累お兄様や)
梨花
梨花
(お母様を殺したのに)
梨花
梨花
(どうして私を殺さないの?)
梨花
梨花
(もうここには)
梨花
梨花
(私の家族は居ないのに)
梨花
梨花
(みんな 居なくなったのに)
梨花
梨花
(この鬼狩りに触れられた時)
梨花
梨花
(凄く優しい手をしてた)
梨花
梨花
(累お兄様が
 触れた時と同じ・・・)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミの事もちゃんと
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺が護るから!!
梨花
梨花
・・・・・・
 木々をつたって
 炭治郎の背中を蹴って
 降りて来る謎の少女。
 炭治郎は倒れ
 禰󠄀豆子が少し前方へ飛ばされた。
 梨花が禰󠄀豆子に駆け寄った時
 炭治郎の視界に、刀を持った少女がうつる。
 羽織に隠れていた「鬼殺隊」の証が
 入り込み・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
く!!
 禰󠄀豆子と梨花を護る為に
 羽織の先端を引っ張る。
 謎の少女は炭治郎の背中に尻餅付いた。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
逃げろ!! 禰󠄀豆子!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
その子と一緒に!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
絶対に捕まるな!!
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んむ
梨花
梨花
え、まって
竈門炭治郎
竈門炭治郎
はやく!!
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
ふんふん!
 禰󠄀豆子は梨花の手を引くと走った。
 少女・・・カナヲは叫び続けている
 炭治郎に踵落とし。
 彼はそのまま気を失った。
 そして逃げる禰󠄀豆子と梨花を追いかけた。
 距離が縮み、禰󠄀豆子は梨花に合図をした。
 カナヲからの攻撃を
 二人で協力して避け
 最終的にカナヲは禰󠄀豆子を中心に
 刀を振るが・・・
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
む〜!
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
え・・・?
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(小さく・・・)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(子供になった・・・?)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(二体共 逃げるばかりで)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(攻撃してこない)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(どうして?)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
・・・・・・
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(考える必要は無い)
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
(言われた通りにするだけ)
 数分後
 疲れたのかして
 禰󠄀豆子は木の前に座り込んだ。
 じりじりと近付くカナヲに
 禰󠄀豆子は警戒もしていない。
 不思議に思う梨花は
 禰󠄀豆子の前に立つと、手を出した。
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んん!?
梨花
梨花
ここで捕まるぐらいなら
梨花
梨花
いっそ・・・
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
・・・
 小柄になったまま
 禰󠄀豆子が梨花に止めに入るが
 カナヲも足を止める事は無かった。
 やがて梨花に近付くと
 刀を振り下ろそうとした。
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んんー!!
 そんな時だった。
 カラスの声が聞こえた。
 その内容は
 「炭治郎と禰󠄀豆子を屋敷に連れて帰る」
 という事だった。
 その伝令が何回か訊いた後
 カナヲは刀を鞘に納め
 禰󠄀豆子に顔を向けた。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
アナタ・・・禰󠄀豆子?
 禰󠄀豆子は静かに頷いた。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
・・・どうしよう
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
アナタは・・・
この山の鬼の生き残りだし
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んー
梨花
梨花
・・・
梨花
梨花
大丈夫
梨花
梨花
私はここから離れない
梨花
梨花
だから、禰󠄀豆子ちゃん
梨花
梨花
アナタのお兄様に伝えて
梨花
梨花
“用件が終わったら”
梨花
梨花
この山に来ていい、と
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
むん
 しかしその直後だった。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
こんばんは
お嬢さん
梨花
梨花
・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
カナヲから話は訊きました
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
本当に
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ここに残るおつもりですか?
梨花
梨花
悪いけど
梨花
梨花
今 アナタの事を
信じる勇気がないの
梨花
梨花
心にひらいた人にだけ
梨花
梨花
私との会話を許せる
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
そうですか
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
それは残念
梨花
梨花
・・・アナタからは
梨花
梨花
お姉様の匂いを感じる
梨花
梨花
お姉様を殺したのは
梨花
梨花
アナタですね
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ウソは言えませんね
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
アナタの大切な家族を
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
私達 鬼殺隊が
全滅させました
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
でもそれは仕方のない事
梨花
梨花
どうして?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
鬼は人を食べます
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
お嬢さんだって
人を殺し、食べるのでは?
梨花
梨花
私は・・・
梨花
梨花
人を殺す事も
食べる事もできない
梨花
梨花
だから是迄も
梨花
梨花
“足止め”程度にしか出来なかった
梨花
梨花
そのせいで
梨花
梨花
お姉様やお母様の
足手まといになってた
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
お嬢さんは・・・
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
バラバラに刻まれたような事は
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
されていなかったのですか?
梨花
梨花
・・・?
梨花
梨花
私は累お兄様から
いつも褒めてくれてた
梨花
梨花
大事にしてくれてた
梨花
梨花
“妹の役目”にいつも
苛々してなかった
梨花
梨花
怒るのはいつも
梨花
梨花
お姉様やお母様
梨花
梨花
二人が一番多かった
梨花
梨花
私の時は
いつも優しかった
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
そう
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
これから どうするのですか?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ずっとこの山で
家族の為に生きていますか?
梨花
梨花
それもいいと考えた
梨花
梨花
家族の衣はまだ残ってるから
梨花
梨花
残ってる内に
梨花
梨花
回収しておきたい
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
それが終わったら
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
一人で生きて行くとでも?
梨花
梨花
そのつもり
梨花
梨花
でもそれは
とある人間のお兄様が
梨花
梨花
この山に来なかった時の話で
梨花
梨花
来たら来たらで
梨花
梨花
また 私の生き方が変わる
梨花
梨花
ここに居ても
梨花
梨花
また違う
鬼狩りが来るだろうから
梨花
梨花
そうなったら私は
梨花
梨花
今度こそ 死に至る
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
人を食べてもいないのに
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
死んでもいいのでしょうか
梨花
梨花
何?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
思ったんですけど
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
人を殺してない
食べてもいない鬼を殺した所で
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
誰が得するんでしょうか
梨花
梨花
・・・?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
誰も得しません
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
だって
誰も殺していない以上
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
アナタは悪くありませんから
梨花
梨花
つまりは
梨花
梨花
何を言いたいの?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ええ、つまり
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
私と友達になりましょう!
梨花
梨花
・・・・・・
梨花
梨花
え?
 その後
 炭治郎と禰󠄀豆子は
 柱合会議にて、柱達と会議
 お館様との会話にて
 炭治郎と禰󠄀豆子を引き受けた。

 そしてそこで
 「人を食べない鬼がまだ居る」という事を説明
 それは胡蝶しのぶから言ったのだ。
 今は山に残ってるようだが
 会議が終われば迎えに行くとの事。

 胡蝶が考えたのは
 「彼女も人を食べない」から
 「暫くの間、蝶屋敷に居てもらおう」と
 反対する者も居たが
 お館様が許可をした事で
 誰も口出ししなかった。
 その日の夜の蝶屋敷。
 客室のような所で
 梨花は“三人の着物”を膝に乗せては
 窓の外に映る夜空を、見上げていた。
梨花
梨花
・・・
梨花
梨花
(山に居た時とは違う)
梨花
梨花
(私のこの選択は)
梨花
梨花
(間違っていないだろうか)
梨花
梨花
(私だけが生き残ってしまって)
梨花
梨花
(ホントにそれでいいのだろうか)
ガラッ
梨花
梨花
・・・?
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
ふんふーん♪
梨花
梨花
えっと
梨花
梨花
禰󠄀豆子・・・お姉様?
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んむ
 扉を開けて
 挨拶のようなものをした後
 禰󠄀豆子が梨花に飛び付いた。
 どうすればいいのか分からず
 とりあえず、抱きしめ返す梨花。
 その直後だった。
 禰󠄀豆子とは違う、もう一つの足音と
 人間の臭いがした。
梨花
梨花
あ・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
しのぶさんから訊いた
竈門炭治郎
竈門炭治郎
暫く ここでお世話になるって
梨花
梨花
・・・・・・
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
・・・?
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
嗚呼!
自己紹介がまだだったな
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺は竈門 炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
で、今 キミに抱きついてるのが
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門 禰󠄀豆子
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺の妹だ
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
ふんふん
梨花
梨花
妹・・・
梨花
梨花
どうして・・・
梨花
梨花
鬼になってるのに
梨花
梨花
人間と一緒に居るの?
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
むー
竈門炭治郎
竈門炭治郎
禰󠄀豆子もキミと同じで
竈門炭治郎
竈門炭治郎
人を食べない
竈門炭治郎
竈門炭治郎
禰󠄀豆子は
人を食べない代わりに
竈門炭治郎
竈門炭治郎
傷を癒すのも
睡眠で終わらせているんだ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そして禰󠄀豆子は
俺の事を覚えてくれている
竈門炭治郎
竈門炭治郎
だから俺は
竈門炭治郎
竈門炭治郎
禰󠄀豆子を人に戻す方法を知る為に
竈門炭治郎
竈門炭治郎
鬼殺隊に入ったんだ
梨花
梨花
・・・
梨花
梨花
無惨様から・・・
梨花
梨花
逃げられたんだ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミは・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
どうなんだ?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
鬼舞辻󠄀 無惨から
竈門炭治郎
竈門炭治郎
逃げる事は出来たのか?
梨花
梨花
うん
梨花
梨花
私・・・
梨花
梨花
無惨様に助けて頂いたのに
梨花
梨花
使命をきってしまったの
梨花
梨花
だから
梨花
梨花
累お兄様が
無惨様に呼ばれて
山を降りた時も不安だった
梨花
梨花
累お兄様が仲間にしたこの鬼は
梨花
梨花
無惨様の契約を
きってしまっているから
梨花
梨花
累お兄様・・・
梨花
梨花
怒鳴られていないかな、って
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・
どう・・・だったんだ?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
訊いたのか?
梨花
梨花
ううん
梨花
梨花
私から訊かなくても
梨花
梨花
累お兄様は気付いてたから
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
んむー?
梨花
梨花
累お兄様
梨花
梨花
私には優しかったから
梨花
梨花
【あれ?
 累お兄様はどこ?】
姉
【嗚呼・・・】
姉
【時々、“あの方”に呼ばれるのよ】
姉
【それで累は
 山から離れる事が多々あるわ】
姉
【あの方は累がお気に入りだから】
梨花
梨花
【・・・あのお方・・・】
ドクン
梨花
梨花
【(どうしよう)】
梨花
梨花
【(累お兄様)】
梨花
梨花
【(無惨様に
 傷付けられていなければ
 いいけど)】
姉
【梨花?】
姉
【どうしたの?】
梨花
梨花
【ううん、なんでもない】
 翌日の夜。
 累は山へと帰宅してきた。
 目の前には
 累を心配そうに見つめる梨花の姿。
 しかし累には
 “その時、梨花が何を思っている”のか
 分かっていたようで・・・
累
【大丈夫】
 俯く梨花の頭部に
 優しい手が添えられた。
累
【何も心配はいらないよ】
累
【梨花は】
累
【僕の大切な妹だ】
累
【家族だ】
累
【何も怖がる事はない】
累
【心配する事も無いんだ】
梨花
梨花
【はい、累お兄様】
梨花
梨花
(あの時の累お兄様)
梨花
梨花
(あたたかい手をしてたな)
梨花
梨花
(あの温もりは)
梨花
梨花
(今でも忘れない)
竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
むー
梨花
梨花
え?
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
むんむん
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
むー♪
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
ん?
なんだ? 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
むん
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
「撫でろ」って言ってるのか?
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
んむ
 炭治郎は梨花を見つめた後
 手を出しては
 彼女の頭部に添え、撫でた。
梨花
梨花
(人間の手なのに)
梨花
梨花
(あたたかい)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
よく
竈門炭治郎
竈門炭治郎
頑張ったな
梨花
梨花
・・・
梨花
梨花
私・・・
竈門炭治郎
竈門炭治郎
うん?
梨花
梨花
生きてていいのかな
竈門炭治郎
竈門炭治郎
・・・
梨花
梨花
怒らないかな
竈門炭治郎
竈門炭治郎
大丈夫
竈門炭治郎
竈門炭治郎
誰も怒らないよ
梨花
梨花
・・・
 優しく梨花を腕の中へ包み込む炭治郎。
 梨花は静かに目を閉じると
 透明の涙を流した。
 声には出さずに、静かに泣いた。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
今は沢山泣いていい
竈門炭治郎
竈門炭治郎
キミが落ち着くまで
竈門炭治郎
竈門炭治郎
俺も禰󠄀豆子も
キミの傍から離れないから
梨花
梨花
・・・梨花
竈門炭治郎
竈門炭治郎
え?
梨花
梨花
私の名前
梨花
梨花
梨花だよ
梨花
梨花
炭治郎お兄様
禰󠄀豆子お姉様
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そうか、梨花か
竈門炭治郎
竈門炭治郎
いい名前だな
竈門炭治郎
竈門炭治郎
暫くの間 よろしく
竈門 禰󠄀豆子
竈門 禰󠄀豆子
ふんふーん♪
梨花
梨花
うん、ありがとう

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