-有栖家
-あなたの部屋
-ブーッブーッ…(アラーム)
今日は、
ないこさんたちが帰る日。
この6日間で、
私は私自身でも驚く程に、
成長したと、思う。
ベットから降りることも、
足を踏み出すことも。
そして、何より
ドアノブに手をかけて、
ドアを開くことも。
6日前の私は出来なかった。
"嫌な声"が、
頭の中を支配してきたから。
確かに、もう聞こえへん、
と言うのは嘘になるし、
怖くない、という言葉も
嘘になる。
…でも。
分かったんや。
-ガチャッ
私は1人やない。
この6日間。
ずっと いれいすは
"自己満足"という考えを
捨てへんかった。
…なんというか、
普通はありえないこと
なのかもしれんけど、
同情とか気持ちを
聞くだけじゃない、
"自己満足"な行動が、
寧ろ私の背中を押して、
私の手を引っ張って
くれた気がする。
私を怪物だと言わず、
1人の人間やと
思ってくれた。
自己満と言いながら、
掛けてくれる言葉はいつも、
光を指してくれる言葉。
手を、差し出してくれる言葉。
気がつくと私は
感謝の気持ちをスマホに
打ち込んでいた。
ずっと、ずるい。
いれいすさんは、
変わらずズルいよッ…。
"ありがとう"という言葉を
口ずさむことが出来るのならば、
口ずさみたい。
…でも、それは叶わない。
お母さんたちが悪いとか、
そういうのはなくて。
声が出せなくて
"普通じゃない"私は、
他の方法があるし、
両親や、にぃ。にぃのお友達に
恵まれとる。
それは変わらない、
忘れることは許されない1つなんや。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!