これがッ、…
たしかにさっきの呪霊とは比べ物にならない程の呪力量…
そして何より禍々しいオーラを放っている
呪霊が気味の悪い笑みを私に向けた
それだけなのに…
たったそれだけなのに背筋が凍り、嫌な汗が流れ、足が竦む
無理だッ…
怖いッ…
勝てないッ…
恐怖で頭がいっぱいになった
悟の服の袖をギュッと掴む
五条side
不意に服の袖を掴まれた感覚がして、振り向むくと…
コイツは震えて泣きそうな顔をしていた
蚊の鳴くような声
今にも目からこぼれ落ちそうな涙
震えて恐怖に染まった顔
その姿を見て俺は固まってしまった
雷が激しく鳴り響き、俺らに向かって一直線に飛んでくる
あっぶねぇ…
無限で防げたけど…これ、ヤベぇかもな…
いくら俺でも1級は流石に祓えない
…コイツを守りながら攻撃を避けるのは無謀すぎる
どうしたもんかと思案していると名前を呼ばれた
そんな悲痛な声と大粒の涙を流す姿を見た瞬間、俺の中で何かが切れた
あの時、俺に殴られると思って怖がっていた姿を見た時と同じ感情___
コイツは絶対に守らないといけないという思い
そしてコイツを泣かした呪霊への怒りがふつふつと湧き上がった
甚爾side
呪霊の姿は見えねぇが強い呪霊がいるのは何となくわかる
実践はひたすら戦って実力をつけるしかない
強い呪霊と戦える機会なんて滅多にないだろうからすぐに助けずに見守っていたが…
あなたも泣いてるしな
あそこまで怖がらせたんだ、少しはお灸を据えねぇとな
…まぁすぐに助けなかった俺にも原因はあるだろうけど( )
なんだ、この感じ…
まだ助けなくていいみたいだな
いや、もう助けなくてよくなったな
五条side
気色悪ぃ笑みを浮かべながらヘラヘラしやがって…
俺は呪霊に向けて最大出力で呪力をぶっ放す
俺の渾身の一撃に呪霊が耐えられるはずもなく、呪霊は消えかけている
腹の虫が収まらなくて俺は消えかけている呪霊にもう一度威力の高い呪力をぶっ放した
呪霊を祓い終わると、オッサンが呑気に俺に話しかけてきた
なんなんだよ、このオッサン…
コイツ、すげぇ震えてたんだぞ
しかも泣いてたし
文句を言ってやろうと口を開いた時だった
名前を呼ばれ後ろを向くと、コイツは目を真っ赤にして泣き腫らしていた
お礼を言われ、なんて返せばわからなかった俺はただ一言だけ返した
ふにゃりと効果音が付きそうなくらい腑抜けた顔を見た瞬間、顔に熱が溜まるのを感じた
俺は2人に背を向け、早足で来た道を戻る
さっきから心臓がうるさくてうるさくて仕方ねぇ
2人からそう距離は離れてねぇはずなのに、心音のせいでやけに2人の声が小さく聞こえた気がした











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。