夕暮れ時。僕は四季凪先輩と一緒にとあるカフェへと向かっていた。
実はあの後語りすぎてしまい、こんな時間帯になってしまっていた。
四季凪先輩は、とあるカフェとしか教えてくれなかった。着いた時のお楽しみだとも言っていた。
…まあ、薄々勘づいてはいるが。
立ち止まったのは、見覚えのあるカフェ。そこは、zeffiroだった。
ぼーっとしていたところで声をかけられる。
どうしよう、僕……生きてられるかな
カランと来店を知らせる鈴の音が鳴った。
こんな時間帯だからだろうか、人は見当たらなかった。
…ん?と言うか……プレートにcloseって書いてなかったっけ?
奥から声がし、顔を出してきた人を見て目を見開き固まった。
四季凪先輩の後ろ(正確に言えば、コートの中)に隠れていたのを見られた。目が合わせられない。絶対に今過去一顔が赤いに決まっている。
やばい、名前覚えられてる?!嬉しいんだが!!?と心の中が荒れていた。
顔を少し覗かせたタイミングで宝石のシトリンの様な瞳と目が合う。
ニパッと言う効果音がつきそうなほどの眩しい笑顔を向けられる。やばい、浄化されそう……ッ
自分の瞳を、宝石で喩えられたのなんて初めてだった。
どしようもなく、心の感情が絡みつくのがわかる。
どうしよう、心臓の音が……うるさい。外に聞こえてないか不安になってしまうくらい。
優しく囁く様に尋ねられる。何だかそれがくすぐったっくって……けど、居心地が良かった。
ふわりと微笑まれる。
ああ、僕はそんなあなただから……好きになってしまったのかも。
そう思ってしまったから、もう自分じゃ、止めることができなかった。
手を、とってしまった。
あなたが、そんなにも優しすぎるから。
自由なあなたに恋焦がれてしまったから。
あなたの、いちばんになりたいと……そう願ってしまったから。
神様、傲慢な僕を……許してはくれませんか?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。