ネコおじside
電話をかけてきたのはドズルさん。
けど、みんないるっぽい。
まぁ、おんりーチャンはいないけど……
あちらからかけてきたから、用件を問うが俺の方が質問したい。
ぶっちゃけ、この人達は要注意だ。
おんりーチャンが倒れていた屋上に入ることが出来た人達だからだ。
………。
え?なんで知ってんの?
授業中だったし、外には誰もいなかった。
ほかの先生も口外する人はいない……と思う。
まぁ、運ばれたのがおんりーチャンだとバレていないなら好都合。
シラを切ってやる
あれ?諦めはやっ!物分り良すぎでしょ!
あまりにもアッサリとした返答に肩透かしを食らう。
まぁ、そんなもんか?
それも知っとんかいっ!
なんか、勢いで押し切ったかん半端ないけど、大丈夫か?
まぁ、ギリ嘘はついてないし……ね!うん!
コイツらに知らんことは無いんか!
恐ろしい子達やでホンマにぃ……
うん、嘘は言ってない!
みんなには申し訳ないけど、この辺りで切りたいかな。
おらふくんが質問してきた最初に、ガタッ。って病室から聞こえてきたから、多分おんりーチャンに筒抜けだわ。
どーしよ。おんりーチャンの記憶が無くなった原因がこの人達にあるかもしれないのに…
いっきなりぶっ込んで来やがった!!
あ〜、もう。はい!この人達は多分黒!
じゃなきゃこんな質問してこーへんやろぉ……?
まぁでも、俺の心は変わんねぇ。
「まぁ、俺への塩対応もうちょっとどうにかしてくんない?とは思うけどね」
そう笑いながら告げると、電話越しでもわかるくらいにあちらの空気がピリピリする。
ブツッ、っと音を立てて切れる電話。
思わず溜息が漏れそうになるが、おんりーチャンも聞いてるところでは大人の威厳を保ちたい。その一心でなんとか堪える。
さぁ、電話も切れた事だし、おんりーチャンに癒されたいっ!!!
そう思ってドアをノックするも返事がない。
また倒れてるかもしれない。
そう思いドアを開けると、布団の塊が小刻みに揺れている。
恐る恐る呼びかけるとビクッとする布団。
鼻をすする音と引きつった呼吸が聴こえて押し黙る。
彼は、まだ高校生なのだ。
その事実にフッと気づく。
親が政治家だろうが、成績学年一位だろうが、生徒会書記だろうが、知ったことか。
彼はまだ高校生なのだ。
ベッドの足元にある椅子に腰掛ける。
彼が隠したがっている雫を見ないようにドアの方を向く。
今はまだ布団の中だから見えないけど、熱くて出てきた時にうっかり見えてしまったら可哀想だ。
その言葉をキッカケにおんりーチャンから、堪えきれない嗚咽とともに懺悔のような言葉が溢れ出す
嗚咽混じりの声にこっちも胸が苦しくなる。
この子か楽になれる方法は無いのかな……?
その一言はあまりにも重すぎた。
俺より半分しか生きてない彼は、俺の数倍苦労してきたんだろう。
何時でも完璧を求められ、その為に努力しても、周りは「当たり前」で済ましてくる。
彼は、いつから自分を殺したんだろうか。
嫌なことも笑顔で取り組んで、頑張りは決して見せずに。
彼に心休まる瞬間はあったのだろうか。
布団から出てきて自らを抱きしめながらそう零した彼は、あまりにも辛そうで、苦しそうで、このまま消えてしまいそうだった
目を伏せたままその身を震わせる彼は幼い頃からそうやって苦しいことから身を護っていたのだろう。
視界がぼやけながらも細い体を抱きしめて語りかける。
『もう、いいんだよ』
届いたかは分からないが、おんりーチャンは大声を上げて腕の中で泣き出した。
いっぱい泣いた。俺も泣いた。
泣き疲れたのか「くぅ、くぅ」とカワイイ寝息を立てて寝てしまった。
その目元は赤くなり、白い肌には黒い隈が出来ていた。
もうすっかり夜が更けた空を見て『もう、この子に苦しいことが何にも起こりませんように』と、月や星々に、強く。強く願った。



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!