次の日。ボクたちは昨日行ったところの少し北にある、エバーブルグ海岸というところに来ていた。
砂浜に座り、海を見る。美しいその海に、目を奪われる。そんなことはないだろうが、この海が星の果てまで続いているとしても、なんらおかしくはないだろう。
フィシがそう自慢げに笑いながら言った。その笑顔が、この星の果てまで続きそうな海の乱反射と同じくらい、いやそれ以上に、眩しく見えた。
気づけば、もうボクたちを暖かなオレンジ色が包んでいた。
フィシが深呼吸して少しすると、口を開けた。
楽しげで、音の上下が激しいこのメロディ。どこかで聴いたことがあるような、そんなメロディだった。
そのとき、海の彼方に大きな船が浮かんでいるのを見つけた。
頭が痛い。何かを思い出しそうだ。
脳裏に、イメージが浮かぶ。
壊れた船。その中に、ボクが乗っている。気絶していたが、なんとか目を開ける。その目に、ピンク色が焼き付いた。その色の正体はわからない。だが、忘れてはならないものだろう。
そもそも、ボクが作ったり買ったりした船なのか怪しい。どこかから盗んできた可能性だってあった。
そう考えているうちに、空が月明かりに励まされたように煌めいていた。
照れくさそうにフィシが戸惑う。あの聞こえたような聞こえなかったような言葉がまるで流れ星になったように、流星群が空一面に降り注ぐ。
もし元の世界に戻ったとしたら、フィシと過ごした記憶は無くなってしまうのだろうか。もし無くなってしまったとしても、この空は忘れたくない。いや、忘れてやるもんか。
そんな人、この世にいるのだろうか。そもそも、魔法が使える人なんて存在するのか。
だが、とても他人事ではないように思えた。ボクが目覚めたとき、自分の手を見て違和感を覚えた。もしかしたら、意識を失う前は今のボクとは全然違う姿をしていたのかもしれない。
昨日、フィシが誰かと画面越しにしていたと思われる会話。おそらく、それのことだろう。
遊園地。その言葉で、何かを思い出しそうだ。
フィシは、腕に付けていた時計を見て驚いて言った。見せてもらうと、もう9時を回りそうだ。
フィシの運転する車に乗り、家へと旅だった。
布団に入ると、あっさりと眠れた。
どうやら、夢の中でどこかに来てしまったようだ。
風船が空を舞い、華々しい音楽がいっぱいに広がる。ゲートの先には、青い誰かがいた。
急に目覚める。フィシの家の天井が視界に広がっていた。
夢の記憶。出会った誰かは、会ったことのあるようなないような、そんな感じがした。
わからないが、あれは予知夢なのだろう。直感でそう感じた。
音楽が途切れ途切れに聞こえる。止まったり、戻ったりもしている。おそらくフィシが曲を作っているのだろう。
空はまだ暗いままだった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。