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第5話

4つ目の記憶:その海は星の果てまで
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2026/02/15 05:27 更新
次の日。ボクたちは昨日行ったところの少し北にある、エバーブルグ海岸というところに来ていた。
砂浜に座り、海を見る。美しいその海に、目を奪われる。そんなことはないだろうが、この海が星の果てまで続いているとしても、なんらおかしくはないだろう。
アロ
アロ
ワァ……!キレイ……!!
フィシ
フィシ
そうでしょ、そうでしょ!私、ここによく来てるんだ♪
フィシがそう自慢げに笑いながら言った。その笑顔が、この星の果てまで続きそうな海の乱反射と同じくらい、いやそれ以上に、眩しく見えた。
アロ
アロ
……ナントいうカ、何にも言わズニ見ちゃウネ……
フィシ
フィシ
……そうだね……眠っちゃいそう……
気づけば、もうボクたちを暖かなオレンジ色が包んでいた。
フィシ
フィシ
そうだ、せっかくだし何か歌おうかな……
アロ
アロ
イイネェ……!
フィシ
フィシ
うーん……今思いついたメロディでもいいかな?
アロ
アロ
……ウン!
フィシが深呼吸して少しすると、口を開けた。
フィシ
フィシ
ーーー♪ーー♪
楽しげで、音の上下が激しいこのメロディ。どこかで聴いたことがあるような、そんなメロディだった。
アロ
アロ
……アッ!
フィシ
フィシ
⁈どうしたの⁈
アロ
アロ
ア、ゴメン……懐かシイ気分にナッテ……
そのとき、海の彼方に大きな船が浮かんでいるのを見つけた。
アロ
アロ
ッ……!
頭が痛い。何かを思い出しそうだ。
アロ
アロ
ソウダ、ボク……!
脳裏に、イメージが浮かぶ。
壊れた船。その中に、ボクが乗っている。気絶していたが、なんとか目を開ける。その目に、ピンク色が焼き付いた。その色の正体はわからない。だが、忘れてはならないものだろう。
アロ
アロ
船に……乗ってた……?
フィシ
フィシ
船……⁈アロさん、船の操縦ができたんですか⁈
アロ
アロ
ア、イヤ、タブン……
アロ
アロ
操縦自体は出来なカッタ……気がスル
フィシ
フィシ
あー、船長とか操縦員じゃない船員とかそういう感じですかね?
アロ
アロ
イヤ、ソレもナンカ違ウ……
そもそも、ボクが作ったり買ったりした船なのか怪しい。どこかから盗んできた可能性だってあった。
そう考えているうちに、空が月明かりに励まされたように煌めいていた。
フィシ
フィシ
あっ、流れ星だ!
アロ
アロ
ホント⁈エート……
フィシ
フィシ
アロさんの記憶が戻って、元の世界に帰れますように……
アロ
アロ
……ン?ナンカ言っタ?
フィシ
フィシ
い、いえ……
照れくさそうにフィシが戸惑う。あの聞こえたような聞こえなかったような言葉がまるで流れ星になったように、流星群が空一面に降り注ぐ。
もし元の世界に戻ったとしたら、フィシと過ごした記憶は無くなってしまうのだろうか。もし無くなってしまったとしても、この空は忘れたくない。いや、忘れてやるもんか。
フィシ
フィシ
……私ね、会いたい人がいるんだ
アロ
アロ
……フゥン……ダレなんダィ?
フィシ
フィシ
名前はわかんないんだけど……魔法が使えて、リンゴが好きで……
アロ
アロ
……魔法?
フィシ
フィシ
私とは姿が全然違う、人かもわからない子
アロ
アロ
ソ、ソウナンダ……
そんな人、この世にいるのだろうか。そもそも、魔法が使える人なんて存在するのか。
だが、とても他人事ではないように思えた。ボクが目覚めたとき、自分の手を見て違和感を覚えた。もしかしたら、意識を失う前は今のボクとは全然違う姿をしていたのかもしれない。
フィシ
フィシ
もしもアロさんがその人の生まれ変わりとかだったら嬉しいんですが、多分そんなことないですよね……
アロ
アロ
ありえナクハないケド……
フィシ
フィシ
……まあ、しんみりする話は一旦置いておいて!明日のことなんですけど……
アロ
アロ
明日ハ、モット北に行くノ?
フィシ
フィシ
ううん、1週間ぐらい曲を作らせて
アロ
アロ
1週間で曲ってできるモンナノ……?
フィシ
フィシ
わかりませんが……どうしても、しなくちゃいけなくて
アロ
アロ
……アー……
昨日、フィシが誰かと画面越しにしていたと思われる会話。おそらく、それのことだろう。
フィシ
フィシ
もしも曲が出来たら、北にある遊園地に行きましょうね!
アロ
アロ
……遊園地……?
フィシ
フィシ
もしかして、アロさんのいた世界には遊園地がなかったんですか……?
アロ
アロ
イヤ、ナニカ引っかカッテ……
遊園地。その言葉で、何かを思い出しそうだ。
アロ
アロ
モシカシタラボク……遊園地の支配人にナリタカッタ……カモ?
フィシ
フィシ
壮大な夢ですね……!もしも出来た際には遊びに行きたいです!
アロ
アロ
マア、コノ世界に建てるワケにはいかないケド……
フィシ
フィシ
……ってもうこんな時間⁈帰らないと……!
フィシは、腕に付けていた時計を見て驚いて言った。見せてもらうと、もう9時を回りそうだ。
アロ
アロ
ウソォ⁈帰ロ!
フィシ
フィシ
はい!
フィシの運転する車に乗り、家へと旅だった。
布団に入ると、あっさりと眠れた。
アロ
アロ
……アレ?ボク、寝たハズジャ……
どうやら、夢の中でどこかに来てしまったようだ。
アロ
アロ
ココは……遊園地?
風船が空を舞い、華々しい音楽がいっぱいに広がる。ゲートの先には、青い誰かがいた。
アロ
アロ
ア、アノ……
???
ハジメマシテ!ココはーー
アロ
アロ
ッ!
急に目覚める。フィシの家の天井が視界に広がっていた。
夢の記憶。出会った誰かは、会ったことのあるようなないような、そんな感じがした。
わからないが、あれは予知夢なのだろう。直感でそう感じた。
アロ
アロ
……ン、ナンカ聞こエルナ……
音楽が途切れ途切れに聞こえる。止まったり、戻ったりもしている。おそらくフィシが曲を作っているのだろう。
空はまだ暗いままだった。
アロ
アロ
……寝ヨ……。フィシ、気負いスギナイとイイケド……

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