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第1話

▹▸ kzh
1,039
2026/05/24 14:45 更新








ある程度のことは我慢出来る方だと思ってた。




特別短気でもないし

苛ついたりすることはあるけど

心の中でぐっと堪えれば徐々に治まっていた。







……今回の件を除けば。











あなた
 え、すご!!美味しっ!!!
まじで渡会くんが作ったの!?
wtri
 もちさんと一緒に作ったんすよ!
あなたさんに食べてほしいな〜て思って…
あなた
 まじか、めっちゃ嬉しい! 
ありがとね、渡会くん

楽しそうにお菓子を食べ合う2人を見て
自分でも分かるぐらいイライラしていた。


さっきからあなたの下の名前に視線を送ってはいるけど
お菓子と渡会くんとの会話に夢中で全く気付きもしない。


笑い声が聞こえる度に机に置いていた右手が
無意識にとんとん、と動く。




あー……、ムカつく。


好意丸出しな渡会くんもだし
それに気付きもせずにこにこするあなたの下の名前にもだし


何より、こんな些細なことで苛ついている
自分に対してめちゃくちゃ腹立つ。



いや、それにしてもじゃね?

あなたの下の名前に食べてほしいって
それもうある意味告白じゃん?渡会くん。

あなたの下の名前もそーんな嬉しそうに笑ってたら
勘違いさせんだろ、気付けよ。鈍感。


つーかイライラしてねぇで会話に入れよ、俺!!

kzh
 ……… 
あなた
 ( あれ、葛葉何か怒ってる… ) 
kzh
 ……なに 
あなた
 あ、ううん、なんでも……、あっ、 

何かに気付いたのか
あなたの下の名前は渡会くんが一生懸命作ったであろう
お菓子を持ちながらこちらに近付いてきた。

あなた
 はい、どーぞ 
kzh
 は、? 
あなた
 葛葉も食べたかったんでしょ? 
言ってよ

いや、食べたくねぇし。



……食べたくないは嘘になるけど。
美味そうだし。

kzh
 …いらね 
あなた
 あーんしたら食べる?ほら、 
kzh
 いらねぇって、腹減ってない 
あなた
 …そっか、ごめん 

ふいっと顔を背ければ
視線を下に向けあからさまに落ち込んだのが分かった。

じゃあ私が食べる…、と持っていたお菓子を
口に入れながら俺の隣に座った。




何してんの俺、ただのガキじゃん。




俺達のことを不安そうに見ていた渡会くんが
あなたの下の名前に話しかけようと隣の椅子に座るのが見えた。



はぁ…、と小さく溜め息をいた俺は
渡会くんが手を伸ばすよりも先にあなたの下の名前の肩を掴み
半ば強引にこちらへ向かせた。

あなた
 え、何? 
kzh
 やっぱもらう 
あなた
 あ、うん、待って、 
kzh
 いいよ、それで 

立ち上がろうとするあなたの下の名前を押さえて
もぐもぐ、と動く唇に顔を近付ける。

あなた
 えっ、 

言葉が発せられる前にお互いの唇が重なった。




とろっとしたチョコが口いっぱいに広がり
唇を離した後でも甘い匂いが続いていた。

kzh
 あま…、カロリー高そ 
あなた
 な、なに、なにしてっ…! 
kzh
 何って、お菓子食ってんの 
あなた
 そうじゃなくてっ…! 
普通に食べてよ !!
kzh
 普通に食ったら面白くねぇじゃん 
あなた
 お菓子食べるのに面白いとかないから !! 

耳元で甲高い声が響いて、それに加えて
力強く頭を叩かれたからか一瞬くらっとした。


痛い、気のせいだよ、なんてやり取りをしている俺達に
何とも気まずい表情を浮かべた渡会くんが話しかけてくる。

wtri
 えっとぉ……、何かごめんなさい 
俺がお菓子持ってきたせいで…
kzh
 あー……、いや、渡会くんは悪くないし 

でも。

一言加えた後、自分の方へあなたの下の名前を引き寄せながら
自分なりに作った笑顔を渡会くんへ向けた。

kzh
 …餌あげていいのは俺だけだから 
あなた
 え、餌ぁ… !? 

動物か !!!と叫ぶあなたの下の名前を無視して
覚えといて、それだけ言うと
渡会くんはバツの悪そうな表情だけ見せた。







あーあ、本当にガキだな、俺。



嫉妬丸出しなのめちゃくちゃかっこ悪いけど
そうでもしないと相手につけ込まれるし。




未だに文句を言っているあなたの下の名前を見ながら
腰に回している手に更に力を込めた。







end ...


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